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お城の、こういうの前庭っていうんだっけ、エントランスホールを出た先の広い庭はほぼ雑木林だった。といってもわたしが昨日リオニルに追われ逃げ回ったほうの雑木林と比べると雑木林度は低い。ええと、昨日の雑木林、位置関係でいうと裏庭になるはずだと思うんだけど、そっちを野生の雑木林度二十五パーセントくらいだとすると、前庭のほうは十パーセントもないくらい、みたいな。
青々とした広葉樹の多い雑木林の中を、白灰色の石で舗装された道が続いている。お城の玄関から門まで真っ直ぐ続く道は、車が適度な距離を保って二台並走できるくらいの幅があった。この世界だと車=箱馬車とか荷馬車になるのかな。ちょっとしたお洒落遊歩道って感じ。振り向けば石造りのお城だし、雰囲気はいいよね。飾り気のほとんどない無骨な外観のお城だけど、内装はそれなりに見栄えも気にしているっぽいし、前も裏もお庭の雑木林にはしっかり人の手が入っているようだし、地味に手間がかかっているのかもしれない。
早足気味に歩くオーリ君と、周辺を飛び回ったりオーリ君の右肩に戻ったり忙しいリオニル。わたしはおとなしくオーリ君の左肩で肩乗りキャットに徹している。自力で走ってついていくの大変そうだもん。
オーリ君の着ている衣装は、一見すると昨日と同じ暗色の上衣だった。暗色というか、ほぼ黒というか、これ単品で見せられたら迷わず黒色判定するけど初見時に殿下とセットだったせいで殿下の衣装が黒ならこっちは微妙に黒じゃない……かも?となってしまったというか。たぶんだけど、生地の違いで色に若干差があるように見えるだけで、区分としてはどちらも黒色だと思う。
この黒の生地に銀の糸で刺繍が入っている上衣、昨日着ていたのと同じものと見せかけて実は別の衣装なのに気づいてしまった。意匠は完全に同一の上衣だけど、リオニルの爪による被害の程度がまったく違うのだ。今日オーリ君が着ているものはいまのところ被害超軽微で傷みがほとんど見受けられない。推定、おろしたて。
……今日の上衣もそのうちぼろぼろになるってことですね。どこかにいるであろうこの服を作った人や修繕する人、お気の毒に。
やっぱりこういう服って竜を飼う人向きの衣装じゃないと思います、ええ。小動物の爪でダメージが入ることなんか想定されてないよ、絶対。肩と腕を防具で覆うとかしたほうがいいんじゃないかなー。
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