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警備の人には止められることなく、扉はそもそも存在していなかったため、まったく行く手を阻まれないままエントランスホールのちょっと手前まで辿り着く。なんかすごい歩かされました。この建物、左右……じゃなくて、東西……かどうかは不明だから、ええと、横幅が長い、と思う。スタート地点になった建築物aも廊下長かったけどこっちの建物ほどじゃなかった。やっぱりこの建物が全体の中心扱いになってるのかな。配置的に四棟ある中で中央に位置している形になるわけだし、妥当ではある。
前方から声が聞こえてきた。
「――……西から」
「自分が東回りで向かいます」
「ヴェルゼン様からも各所へ使いが出ているかと思うので、無駄足を踏ませてしまうことになるかもしれませんが」
「途中で行き会ったら引き返してきますよ」
「頼みます」
知らない声が二人分と知っているオーリ君の声。あとBGMよろしくくるるーくるるーという鳴き声。
前方に人影が三つと翼ある爬虫類の姿発見です。あの変温動物、やたらどこかに行きたがってると思ったら、オーリ君のいるところに行きたかっただけかーい。飼いドラゴンとしては正しい姿なのかもだけど、これわたしまで付き合わされる意味あった? なくない? 一匹で飛んでいけばよかっただけでは? 竜って集団行動したがる習性でもあるんです???
リオニルの行動には釈然としないけど、それはちょっと置いといて、エントランスホール! エントランスホールになんかすごいのがある!
この建物の床、アイボリー色の大理石をベースにしたモザイク模様なんだけど、エントランスホールの一部分――といってもど真ん中にけっこうな面積を占めているけど――に淡いライトブラウンが使われている箇所がある。形は正方形。ライトブラウンというより琥珀色とかかな? それもちょっと違うかも。琥珀色って呼ぶにはちょっと黄色みが控えめな感じ? 色の名前あまり知らないんだよねえ、わたし。
細かいことはともかく、このライトブラウンの中が、でっかい地図になってるの! 床に地図! なんか地図埋め込まれてる! 世界地図みたいなのある!
えーーーどうなってるのこれ。こういうのって象嵌細工っていうんだっけ? それとはまた別の技法? 全部大理石なのか他の石材を使ってるのかわからないんだけど、間近で見ても継ぎ目とかわからないし上はつるつるで境目の段差とかないし、なにこれすごくない!?
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




