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「あ、猫?」
はい、可愛い猫ですよー。
わたしが最初いた建物から順にabcを振っていったせいで暫定建築物cになった建物は、回廊から入ったところに警備の人が配置されていた。
にゃーんと一声挨拶してから、リオニルを探して進む。あの空飛ぶ変温動物め、わたしにつきまとっていたかと思えばいまはさっさと先行して姿が見えないし、なにがしたいのかわたしに理解できる言葉で具体的に述べよと言ってやりたい。
回廊から入ってすぐのところは用途不明の広めの空間で、正面は壁、左右は――廊下。廊下というか、ちょっとした小広間と呼べるくらいの空間だけど、たぶん廊下。
壁のタペストリーやランプ、天井から吊られているいまは使われていない照明器具、あと壁に沿って立ち並ぶ太い柱の上部に施された装飾なんかを見ると、お城全体の中で一番見栄えに力を入れているのがこの建物なのかも。この建物を基準にabcを割り振るべきだったか。
そしてリオニルは回廊から入って左右、どちらに行ったのか。
うーん、途中で迷走することなく素直に順路でいけば、左右のどちらに進んでも回廊へと続く扉とは反対側、推定この建物のエントランス部分で合流するやつだとは思うんだけど。とりあえず進めばいいか。ってことで右にします、右。
外から見ると見た目より堅牢性!って感じの武骨方向寄りのお城という印象だけど、内部は装飾を捨てているわけじゃないんだよね。王侯貴族が行き交う宮殿みたいな絢爛豪華煌びやか方向ではないけど。いや、この世界のこの国の宮殿がどんな感じのとこなのか見たことないからあれだけど。装飾性かなぐり捨てて防衛力全振りの戦闘用城塞みたいな宮殿だったらどうしよう。
ちなみにわたしがいま歩いている廊下だか小広間だかちょっと判断に迷う空間も、例の白くてふよふよな魔法の灯りが光源役を担っている。一般普及度がどんなものかは知らないけど、少なくともこのお城の中では大活躍ですね照明魔法。一応、高いところから自然光も入ってはいるんだけど、それだけじゃ全然足りていない感じ。お昼前後になれば多少はマシになるかもしれないし、薄暗くてもOKなら太陽頼りで大丈夫なのかも……だいぶ厳しそうだとは思うけど。
最初に右側に進み、ひたすら前進、一度左に折れてまた前進。前方にまた曲がり角。ここを折れて真っ直ぐ進めばおそらく建物のエントランスにあたるホールがあるはず。そしてリオニルと合流できるはず。あの爬虫類が勝手にどこかに飛んでってしまってたらわからないけど!
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