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竜の言葉を解さないわたし vs すべてをくるるるだけで済ませようとするリオニル。
言語の壁を挟んだ短い攻防はリオニルの方針転換によってあっさり終了した。
ふっ、諦めの早い奴め――とか言っている場合じゃなかった。なんせリオニルの方針転換した先が、こう、後ろ足でわたしの背中をがっと掴んで持っていっちゃえーな方向だったので。
刺さる! 爪が! 刺さるわ!! 猫を持ち運ぼうとするのやめー!!
被毛があるとはいえ猫、それも仔猫の皮なんて薄っぺらいんですよ、ちまっこいサイズのリオニルでも、竜の爪は! 凶器!!
襲い来る爬虫類の爪を辛うじて躱してしゃー!と毛を逆立てるわたしに対し、鼻先でのつっつき攻撃で追撃をかけるリオニル。ほんとなんなわけ、なにがしたいのこいつ。くるるーじゃわからないんですよ、猫語を話しなさい、猫語を。
……って、思い起こせばマミーやきょうだいたちの言ってること、にゃあみゃあうにゃ~んという鳴き声としか聞こえなかったような……? え、まさかわたし、猫語を理解できない猫だった!? それとも動物のコミュニケーションはこういうもの?? どっちかわからないけど、これじゃ仮にリオニルが猫語を習得しにゃあにゃあ言いだしたところで無意味なのでは。えええー……、相互理解への道が遠く険しく果てしなさすぎる。
壁際に身を寄せてしゃーしゃーやるわたし。ひとまず猫を直持ちするのは諦めたらしいリオニル。なんか鼻先でぐいぐいわたしを押してきたり、ばたばた飛び上がっては少し先に着地してまた戻ってきたりと、忙しい。頻りになにかを気にしている素振りを見せながらも、わたしから離れようとはしない。
ううん、なにかをしたいことだけはわかるんですよ、なにをしたいのかがわからないだけで。
とりあえず、わたしを掴まえようとしたり押して動かそうとしたりするってことは、わたしを連れてどこかに移動したいってことでよろしいですか?
食べ終わったらさっさと厨房から出ていけ? まあ猫がうろうろしていていい場所ではなさそうだしねえ。何人もが働いているから油断してるとうっかり踏まれそうだし。
それともまさかの追いかけっこでもして遊びましょうのお誘いだったりしますか。わたしは食べた直後にすぐ動きたい人間、もとい、猫じゃないのですがー? リオニルも食後はゆっくりしなよ。あれだけ食べたら身体も重くなってるでしょ。
――やたら元気な空飛ぶ爬虫類を見ていてふと思った。
鳥って、自力で空飛ぶ必要があるから見た目のわりに身体が軽かったり、ものすごい勢いで羽ばたいたり、とにかく努力する生き物だけど、同じ翼で空飛ぶ生き物なはずのリオニルは鳥ほど軽くなさそうだし、羽ばたく頻度もそこまでではないような。
なんか、物理法則がちょっと蔑ろにされてません? 気のせい?
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