68
素朴なタッチの、子ども向け寓話集なんかの挿絵をそのまま持ってきました的な絵なのでだいぶ印象は違うけど、これ絶対あの紋様だよねえ。わたしはあの紋様なにか魔法関連なのかなーって勝手に考えてるけど、実際のところ正体はなんなんだろう。
で、リオニルの食べ物用お皿の絵柄は……なんかよくわからない。描かれているのは流れる川だと思うんだけど、川以外には人物も動植物もなしでほんとに川だけ。ただ、川を表現する線に紛れて緩いウェーブの流線模様が描かれているように見える気がしなくもない。うーん、やっぱりよくわからない。
オーリ君の私室に用意されていた水皿は、細い月の下、草原に佇むお婆さんの絵だった。……たぶんお婆さん。腰が曲がっているので推定お年寄り、長い髪を三つ編みにして垂らしているから推定女性、ってことで。マントで隠されていて着ている物は見えないし、フードを深く被っているため顔も口から下くらいしか出てないんだよね。この絵から性別判定は正直厳しいです。手には曲がりくねった木の杖、杖の先から吊り下げられたキャンドルランタン。マントと相俟ってなんだかすっごく魔女っぽいから、正解がわかるまではお婆さんと思っておくことにする。
このお皿の絵シリーズ、もしやこの世界の昔話や童話を知っていればお馴染みのあのシーンの絵ね!ってなるやつだったりする? そんな感じっぽいよねー。残念ながら前提知識がない猫にはよくわからない絵の入った皿でしかないけど、わからないなりに興味はあるので、他にもまだ同シリーズのお皿あるなら見てみたいものだ。
しかしセットもの(かもしれない)の絵入り皿って猫の餌皿にしていいやつ? 竜の餌皿にちょっとよさげな食器が使われるのはわかるんだけど。ほら、なにしろ竜だから、特別な生き物は特別扱いしましょうねーってなってもまあ納得できるし。翻って、猫はただのにゃあと鳴く猫ですよ。
お皿にたんまりお肉を盛られていたくせになぜか食べ終わるのがわたしより早かったリオニルが、不意になにかに気づいたように首を巡らせた。
「くるるる」
なんか鳴きながらわたしの肩あたりを鼻先でつついてくる。わたしまだ食べてる途中なんですけど、いきなりなに。
無視してちまちま白身魚を食べていたら、横からリオニルに残っていた林檎をかっさらわれました。それわたしの林檎なんですけどー? 別に大好物ってわけじゃないけど貴様にあげるとは言ってないのですよ。目の前から堂々と盗みを働くとは何事か。ていうかこいつ林檎好きなの? やはり雑食なのか竜。
わたしは魚を、リオニルはわたしのお皿から勝手に持ってった林檎を食べ終え、これでわたしの食事皿もきれいに空になった。
リオニルのお行儀悪い窃盗行為はあったけど食事自体には満足です、ごちそうさまでした。
「くるるるる……!」
なおもわたしをつついてくる白い爬虫類。
いやだからなに。
わたしは竜語の心得とかないのでくるるじゃわからないんですけど!?
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




