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便利なマジックアイテムや魔法仕掛けの装置的なものはあまり使われていない世界なのかな、ここ。
調理に使う火は薪を燃料にしている普通の火。その一方で厨房、それからここに来るまでに通過した階段や廊下や食堂も、照明はオーリ君が私室で使っていたのと同じ、ふよふよしてる白っぽいやつがメイン。
オーリ君のと同じというか、もしかして私室以外の魔法の灯りもオーリ君が出してるのでは。オーリ君が城内の照明担当だったりするのだろうか。お湯を沸かすのと灯りを出すの専門で雇われてます、みたいな…………それはないか。いまのところ殿下以外からは軒並み様をつけて呼ばれ頭を下げられているのを見るに身分か地位どちらかが高そう、かつ着ているものや割り当てられている部屋に使用人らしさが薄いというのを措いても、やたら高火力で蛇を火葬できる人だったわそういえば。あの美少年たぶん戦闘できる子だわ。あとリオニル飼ってるし、わたしの憶測だけど少なくともお湯と照明のためにいる人ではないわ。
階段や廊下、食堂は、使用されてこそいないけれどちゃんと壁に等間隔でオイルランプが用意され、天井からも照明器具が吊り下げられていた。厨房ではメイン魔法照明に加えて手元や隅っこなど足りないところを照らす用オイルランプって感じでしっかり併用中。魔法の灯りなしでも普通の照明器具だけで問題なくやっていけそうな感じ。でもそれだと光量はだいぶ落ちるのかも。この魔法の灯り、部屋を明るくする照明としての性能はかなり優秀だ。
このお城の外だとどんなもんなんだろう。昨日オーリ君にくっついて訪れたお隣さんは通用門のところに設置された照明とか敷地内の外灯とか屋外照明はオイルランプ派だったと思うけど、建物の中までは入ってないから屋内の照明事情まではわからないんだよね。
しかし、こういうお城の中ってなんとなく電球色のウォームカラーのが似合いそうだけど、高いところにふよふよ浮かんでいる白いのが放つ光は昼白色や昼光色な感じなのは、オーリ君の好みなのか、この照明魔法はこういう色味しか無理でーすなのか、どっちでしょうねこれ。
この世界の照明周りについて考えつつ、たまーにリオニルの尻尾がぱたんぱたんと動くのに本能を刺激されたりしながら待つことしばし。オーリ君の部屋の中では走り回っていたリオニルだけど、厨房では片隅のメイドさん用休憩スペースでおとなしくしている。一応、好きに動き回っていい場所とそうでない場所の区別はちゃんとついているらしいです。昨日はわたしを追いかけて廊下のタペストリーとか温室破壊してたけど。まあタペストリーについてはわたしの関与もちょこっとあるのは否定できない。ちょこっとね、あくまでちょこっとだけ。
紺色地に小花柄ワンピースのメイドさん、こちらは昨日も会った人でメイリアさんって名前で呼ばれてたほうではない人が、待機していたわたしとリオニルに朝ご飯を運んできてくれた。
わたしの前には陶器のお皿が二枚。一枚は水皿で、もう一枚には火で炙った塊肉を削いだものと茹でられた白身魚の身、それから薄く切った林檎二切れ。
リオニルのほうは、やはりお水の入ったお皿と、わたしのより厚めに削ぎ落としたお肉。量もだいぶ多め。こちらは魚なし、半分に切った焼きナスあり、林檎なし。
もしや竜って肉食じゃなくて雑食寄り生物。
そして林檎の有無の違いはいったい。
あの、別に林檎大好きってわけじゃないんですよ、わたし。猫には不要な食物だと思うし。頂けるものはありがたく頂きますが。特別好きじゃないにしても林檎は美味しいし。内容に文句は言いませんとも。でもほんと、わざわざ林檎出してもらわなくても大丈夫なんで。
……まあいいや。
いただきます。
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