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厨房周辺の一角は、廊下から警備の人たちの集まっている食堂、食堂からなんのためにあるのかよくわからない小部屋、小部屋から厨房と、各室の間に扉がない。扉は設置されてなくても壁が仕切りの役目を果たしているので、それぞれの境界線ははっきりしているけど。
そんな造りなので廊下から食堂へ、食堂から小部屋を通って厨房へと妨げられることなく行き来ができる。空間としては遮られずにひと繋がりだから食堂にいても厨房の様子は伝わってくるし、おそらくその逆も然り。
食堂にいながらにしてはっきりわかる、現在の厨房は昨日お邪魔したときのひろびろがらーんとした厨房とは別物だ。大勢が立ち働く空気がこっちまで漂ってきてる。
あとねー、なんかねー、どこぞの白くて空飛ぶ爬虫類のくるるるって鳴き声がするんですよねー厨房のほうから。明らかにお忙しそうなところに飛び込んでいくとか勇者か。自由すぎるでしょこいつ。
まあわたしも行くけど。わたしだけなら遠慮して引き下がるところだけど、すでにリオニルがそっち行っちゃってるもんね。
というわけで昨日も訪れた広ーい厨房です。
現在、厨房は主にパン職人の戦場となっております。いくつもある作業台を独占する勢いでパン生地を並べ、三基の大きな窯をすべて使ってひたすらパンを生産している。こういう窯ってどのくらい薪を消費するんだろう。
窯はパン焼き専従のようで、食堂に提供されている料理のほうは窯ではなく囲炉裏の親戚みたいなのを利用して調理されていた。でっかい石組みの台の上部に窪みがあって、その窪みの中で薪や炭を使って火を燃やすやつ。上から下がっている頑丈そうな鉤に大鍋を吊るしている隣では、肉の塊が火に炙られている。
この囲炉裏もどき、なんか四角くて囲炉裏っぽいから勝手に囲炉裏の仲間扱いしてるけど、正式名称なんていうんだろうね、と思ってたら厨房で働く人たちはシンプルに炉と呼んでいた。
見ていたら、厨房の裏口から厨房の見習いですって感じの若者が何人か入ってきて、焼き上がったパンを手早く容器に入れて運び出していく。
この裏口って少し歩いたらお隣への通用門だったよね。もしやお隣さんで消費するパンまでまとめてこっちで焼いてたりします? それでこんな忙しないことになってるの?
パン担当の人たちがそれこそ鬼気迫るって雰囲気なのに対し、炉の大鍋やお肉担当の人はそれほどでもない、というかあっちと比べるとのんびりしているようにすら思える。いや、こっちの人たちも休むことなく手を動かしてるんだけど。パン焼く人々とそれ以外で雰囲気違いすぎ。
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