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おそらくはなんらかの効果を持つであろうマジックアイテム的なやつと思われる布なんだけど、これじっくり観察してもただの布である。
布の色も端部分の処理の仕方も見事に統一感は皆無で、共通しているのは布であることと真ん中になにかの紋章が存在していることのみ。布地の種類すらてんでバラバラで、シャツに使われてそうな生地やら織り目の荒いものやらちょっと厚めのものやら入り交じっている。
紋章の意匠はオーリ君の手の紋様と同じやつの他に、細長い植物の葉だけで構成されているもの、葉と茎と房状の花または実、オーソドックスに格好いい剣と盾の組み合わせを幾何学的な細かい模様が囲んでいるものなどなど、バリエーションはけっこう豊富。多いのは笹や竹の葉っぱのような細長い植物の葉を複数散らした意匠の紋章で、ここまでで中の魔石が消費されてお役御免となった布のうち三分の一くらいはこの意匠のものだった。
総合すると、統一規格? なにそれオイシイの?状態。
布の効果だけは統一――かどうかはだいぶ怪しいけど、一定のラインはクリアしてるからオッケーです、とかそんな感じじゃないかなあ。たぶん、魔石を包み込んで危険物質を持ち運べる状態にできれば可、ってことなんじゃないかと。
まあ魔石の危険度がどの程度なのかも全然わからないまま、推測に推測を上積みしているわけですが。
危険物質とはいっても、近くに剥き出しの魔石が転がっているだけで直ちになにかあるわけではないというのははっきりしている。
だって箱の中から取り出して包みの布を取り払った状態の魔石、オーリ君は普通にデスクの上に置いているもんね。委細不明の内職作業で消費されてなくなるまでの数分とはいえ、そのままの状態でデスクで作業しているオーリ君やデスクの上に居座るわたしから至近距離にあって特に問題ないんだから、そういうことでしょ?
オーリ君が魔石の位置を少し動かす際には必ず紋章つきの布を上から被せて布地越しに魔石を持つようにしているし、わたしが魔石に前足を伸ばしかけたり飛びかかりそうな素振りを見せれば素早くわたしを確保して膝の上に移動させるので、とにかく素手で触るには問題ありという認識がされているのは間違いないものと思われます。でも直接触らなければ、なんかの魔法的仕掛けのありそうな布一枚越しに触れるのも、近くにいるのもオッケーだと。
……魔石よくわからない。
そもそも魔石以外もわからないことだらけだけど。
あと、ずーっとリオニルの玩具になっているあれ、蛇から出てきた魔石、あれはあのままでいいんですか。ただのボール扱いされているように見受けられますが。
リオニルの牙と爪では魔石を囲んでいる白いやつが壊されないという自信があるんだろうなーとは思う。思うけどなんか管理杜撰すぎない? 放っておいたらころころ転がって部屋の外まで行っちゃいそうなんだけど、いいのかこれで。
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