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オーリ君の手に浮かんでいる紋様がそのまま白色化したような不可思議ななにかで形成された球体は、リオニルが部屋の中でボール遊びを始める前にわたしも少しだけちょいちょいと触ってみたんだけど、表面はガラスでできてでもいるかののように凹凸もざらつきも引っかかりもなかった。それでいてつるつると表現するにはなんかこう、つるっ具合が足りない感じというかー。それ以前にまずなにかに触れているという実感が奇妙に薄いとでも言えばいいのか、とにかくよくわからない触感だった。
なんだこれ。
オーリ君がなにかやった結果出てきたものなのはわかっているし、一応、魔力が実体化したとかそういう系のなにかだろうと推測しているけど。
白い蔓植物紋様で形作られた容れ物は隙間だらけのすっかすかで、白の合間から中心部の魔石もその向こう側もしっかり見えている。それでいて、なにもないところに手を突っ込もうとしても見えない壁で阻まれてしまう。見えないだけで全体がしっかりなにかに覆われているのだ。
要するにこれは、目では見えない透明な球体の表面に白い模様が浮かんでいる状態、と説明するのが正しいのだろう。
ほんとなんだこれ。
おそらく、魔石を安全に持ち運び保管するためのものかなとは思う。元蛇だった灰の中から直接魔石を拾い上げることもできたはずなのに、わざわざ蔓植物モチーフの容れ物を生み出して閉じ込めたわけだから。
……直に触れると手が汚れるのでいやだったとか、蛇を灰にした際の熱が残っているから直接いくのは避けただけとかいう可能性が完全には否定できないけども。
魔石というものは素手で触れることは避けるべきという扱いをされているらしい、とわたしが思う根拠はちゃんとあって、オーリ君がデスクの上に並べている作業用素材、バニティポーチサイズくらいのかっちりした作りの箱に入っている、布で個包装されているやつ。これの正体、布の中身が、色こそ違えど蛇から出てきたものと同じ類のものっぽいのだ。つまり魔石。
布の中身、長さ一センチから大きめのもので二センチ弱くらいの推定魔石は多くが若草色に黄色いライン入り、たまに明るいグレーと淡い青のマーブル模様のものが混じっている。
オーリ君の動きを観察していると、とにかくこの魔石(たぶん)に直接手で触れることがない。
あとわたしがちょっと前足を出しかけると即座に阻止してくる。
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