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街中を歩いているときに至るところで見かけた、頭の上、高い位置で風に揺れる木の札。通りを横切る形で渡されたロープに下げられた、飾りだかなんだか用途不明のあれ。
オーリ君がせっせと内職?して作っている金属板、材質こそ違えどあの木の札にとてもよく似ているのだ。形も大きさも同じくらいに見える。
真新しい十円玉色をしたぴかぴかの板は、オーリ君がなにかして出現した植物模様の部分だけが少し変色して艶消し加工状態になっている。そこだけ世に出て数年後の十円玉色だ。
そばに寄ってじーっと観察しても、板に凹凸が発生しているなどは見られない。ただ色が変わっている、それだけ。
どういう原理で金属がそんなふうに変化するのか、この模様になんの意味があるのか、この金属板はなにに用いるためのものなのか、なにもかもわからないけど、魔法関係アイテムであることだけはわかる。
大量生産するタイプのマジックアイテムなら定番は特定の魔法を封じ込めたスクロールとかだよね、ファンタジー作品だと。オーリ君が作っているこれはスクロールじゃなくて金属板だし、用途不明で消耗品かそうでないのかもわからないけども。
街中で見かけた木の札のほうももしやオーリ君製作なのだろうか。……って、あれ街の全域であの飾りが使われているなら膨大な量になりそうだから、さすがに製作者一人ってことはないかなー。
金属板の真ん中に出現した模様、オーリ君の右の手から腕広範囲と左手の甲から手首にかかる位置に浮かんでいる紋様を一部切り取り、うまいこと長円の紋章っぽい形になるよう配置したようなデザインのそれ。
街中に飾られていた木の札のほうはちゃんと表裏の絵柄見ていないから断言はできないんだけど、見れば見るほど同じものな気がしてくる。
そしてこの棘植物模様、もう一つ共通モチーフのものがこの部屋の中にある。
さっきからずーっとリオニルが転がしまくって遊んでいるボール――正確には形状が球体であるためにボールとして使われる破目になっただけのアイテム、ぶっちゃけアイテムという言い方が正しいのかどうかがかなり微妙な代物なんだけど、これである。
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