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愛されキャットはじめます in 異世界  作者:
 

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04

 さて、現状を確認します。

 わたしは一匹だけマミーキャットに置いていかれた、右も左もとんとわからない幼気(いたいけ)な仔猫です。

 そして現在地は見知らぬどこかです。これまで物置小屋の中だけで過ごしてきたから猫としてはこれが初の外出になるし、朱居泉葉としてもまったく心当たりがない場所なのだ。なのでまったく知らない土地で一匹ぼっち。悲しい。

 現在時刻は、スマホも時計もないので正確なところは知る術がないが、朝、やや早めの時間。そろそろ行き来する人の姿が多くなってきたところ。

 わたしたちが暮らしていた物置小屋には本当に人が来なかったし、ママに置いていかれたときは完全に夜で道を歩く人間なんていなかったから、何気にこれが猫に生まれ変わってからの人間との初遭遇ということになる。

 目覚めて家族がいないのに気づいてからこれまでに、朝っぱらからにゃーにゃー鳴き喚いている仔猫をちらちら気にしながら、仕事に向かうところなのか足早に通り過ぎる人間を何人も見送ってきたわけだが。

 あの……皆さん見事に揃いも揃って日本人らしくない、さらに言うならアジア人らしくもなければモンゴロイドでもなさげな容姿の方ばかりですね……?

 あと、目に入る街並みが、薄灰色の石を積み上げた壁とか、石畳の道とか。視界の端から端まで、どこを見ても全っ然、日本要素ない。マジでない。

 あれー、ここどこー?

 風景と道行く人々からの推測だと、有力説ヨーロッパ圏のどこか、ワンチャン欧州風テーマパークの中。

 わたしとしては、元日本人の朱居泉葉としては、ここは日本のどこかのテーマパークの中で、通行人は出勤途中の外国人スタッフの集団であってほしいと切実に願うところであるのだが――。

 ――うん、テーマパークはないな。

 仮に外国人スタッフ大量に確保しているのであっても、日本国内なら日本人皆無にはならないと思うんだよね。

 あと、なんか目の前の広場で普通に朝市の準備らしいのが始まってる。荷車を引いてくる人とか、路面に台を出して野菜を並べている人とか、これ完全にどこかの街のいつもの日常風景だわ。朝からお疲れ様です。あ、パンの匂いがする。いいなあ、焼きたてパン食べたいなあ。

 活動する人々を、わたしは見下ろす。ママがわたしを置いていった場所は、他より高所なのだ。

 詳しく説明すると、まずわたしは石材でできた大きな深皿?かお椀?か、そんな感じのものの中にいる。ママがわたしをこの中に入れたのだ。

 材質は石だけど、身体の下には布でできた小さななにかがたくさんあって、直に固い石の上で眠らなくてすんでいた。あらためてちゃんと見たら、ミニサイズの布袋だ。大きさはだいたいママの足先くらいかな。ほんとにちっちゃい。色は様々、中には刺繍入りの袋や、ほんのりいい香りのついた袋もある。適度に柔らかくて、中身はおそらく綿だ。布袋の間に、綺麗な飾り結びにされた組み紐やリボンもある。

 なんだろうね、これ。わたしのクッションになるために存在してるんじゃないよね。

 ――などと首を傾げていたら、お婆さんが一人、近づいてきた。目当ては勿論わたしではなく、わたしが入っているお皿ないしはお椀だ。

 でっかい石皿の中にちんまり座っているわたしを見て「あら、猫」なんて少し驚いた素振りを見せたお婆さんは、かつては栗色だったと思われる白髪だらけの髪とグリーングレイの目をしている。そして彫りの深い顔立ち。外見だけで判断するなら日本語話者である可能性は低いし、実際さっきわたしを見たときの呟きは日本語の響きじゃなかった。

 ……でもわたし、お婆さんがなに言ってるのかわかったよね?

 なにこれ、ふっしぎー。


※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。

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