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でもねー、大きな蛇が庭にいる!ってだけで嫌がらせや脅しとしては充分に機能するとわたしは思います。あの雑木林を庭って呼んでいいのかどうかちょっとわからないけど、手入れされていて天然の森林っぽさがまったくなかったし、扱いとしてはお城の庭園でしょ、たぶん。
そんなところでいきなりでかい蛇、しかも本来はこの辺に棲息していない未知の種類のやつがにょろにょろ出てきたら誰でもびっくりして腰抜かすってば。
……驚くよね? まさか二メートル超級とはいえ蛇が庭に出てきた程度で恐怖を感じるような奴はいないとか言わないよね? もしそんな世界ならわたしが生きていくには不向きすぎるのですが。
それに単に大きいだけじゃなくて魔物で火の玉を吐いてくる蛇なんだけど、それでも脅威度低いんです? 魔物って一点だけでは注意喚起はしても脅威と看做すほどではない? 魔法かそういう機関が生えてるのか知らないけど、火を吐く蛇なのに? 好き勝手に火付けできる野生動物ってそれだけで怖いと思うけどなあ……。
………………あ。
オーリ君、ご遺体になってからの蛇しか見てない。当然、殿下やメイドさんたちも。ラシェト卿たちは言うまでもなく。生前の蛇の姿を知るのはリオニルとわたしだけだ。わたしの目の前に降ってきたときにはすでにダメージ受けた状態だったので、健在だった頃の蛇を見たのはこの白ちま竜だけということに。
あーーーもしかしてそれで!? 火を吐く蛇だってことを誰も把握してないから脅威度判定が数段階下がってるわけ!!?
だよね? 放火するかも知れない蛇ってなったら仮にサイズ十数センチでも危険生物扱いになるよね? いくら石積み建築メインでも建材には木材も多用されてるから火は怖いはずだもん。
なるほど、そういう……。いや、頑張れば仔猫仔犬サイズいけそうな大きさの蛇は火を吐かなくても街中に存在してちゃいけないでしょーとわたしとしては主張したいけど、でかいだけの蛇扱いで軽く見られてるということなら一応は納得できる。
そっかあ、目撃者が人間の言葉を操れない仔猫と竜だからかあ……ダメじゃん。
コミュニケーション能力の重要性ー!
おのれ、わたしが猫ではなくオウムや九官鳥に生まれていれば……! 猫の声帯ではどう頑張ってもお喋りできるようになるとは思えない。詰んでる。
リオニルー、竜ーー。ファンタジー世界のドラゴンはなんか特別っていうのが定番でしょ、スペシャル種族特性不思議パワーでなんとかならない? 念話とか自分の記憶を相手に共有するとか、そういうの! できたりしない!?
一縷の望みを込めてじとっと目を向ける先、白ちま竜はまだ上空の鷲獅子に夢中でした。
さてはこいつ会話の内容すら理解できてないな。
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