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「注意喚起はすべきでしょう」
「だな。――つってもどう伝える? 見慣れない生き物がいたらとりあえず騎士団か守備隊にとは元から周知している」
わたしが足りない情報を元に頭の中をはてなマークだらけにしている間に、ラシェト卿とお付きの人Aさんはなんか真面目な話をしている。危機感を覚えている様子はないけど、一応対処の必要性は感じていたらしい。
「単にどこかの物好きが道楽だか思いつきだかで飼ってた蛇にたまたま手元にあった魔石を突っ込んで、さらにそいつをうっかり逃がしましたってだけなら話は簡単だが」
「中にあるの神造魔石なんですよね? 思いつきで無駄にしていいもんじゃないですよ」
「わからんだろ、魔石の十や百は惜しくもない金持ちなんざいくらでもいる」
「少なくともここいらにはいないと思いますよ。そんな余裕があるなら騎士団に供出しろって言われるでしょ。――この近辺で見られない種の蛇というのもちょっと不気味です」
「ほとんど人の踏み入らない山地がすぐそこにある、これまで発見されなかった新種の報告はそれほど珍しくないだろう」
「じゃあなんですか、未発見の新種の蛇を見つけてこっそり持ち帰った者がいて、偶然にも手元にここらの神造迷宮では入手できない魔石があって、それで蛇が魔物に変化したのでこっそり街中に逃がしました、と?」
「それか、船でよそから入ってきたかもな? 猫も船荷に紛れ込んで遠出するんだ、蛇がやってもおかしくはない」
ん? わたしのこと言ってる? 別に自主的に船に乗り込んだわけじゃないけど、たしかに船で運ばれはしました。人生猫生合わせて初の船旅が樽入りですよ。いつかやり直しで普通に船に乗る機会……は果たしてあるのだろうか。
「我々としては、これの発見場所が総督の居城というのも気になりますね」
そうオーリ君に言うラシェト卿。
総督というのは殿下のことでいいのかな。これまで見た中で一番偉そうなの殿下だし。
「何者かの悪意によると?」
「正直、総督への害意あってのことだとするなら半端だとは思いますがね。魔物とはいえただの蛇、出入りする使用人ならともかく、総督やオーリ様に対しては脅しにもならんでしょう」
まあねー、殿下やオーリ君が魔物相手にどのくらい戦える人なのかは知らないけど、リオニルに敗北してるもんね。
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