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魔物と呼称されるものはイコールその身体の中に魔力の塊すなわち魔石を有するもの。そして特段の外的働きかけに依ることなく普通に発生する魔物では、魔石があるのは概ね脳か心臓、次点でその間に位置する首、動物型の魔物ではこの三カ所でほぼすべてとなるらしい。植物型だとどうなるんだろうか。脳やら心臓やらは子どもでもわかる重要部位だけど、たしか動物みたいなこれっていう重要臓器ないよね、植物。
オーリ君が言うには、わたしたちの目の前にあるご遺体の蛇は、頭部でも首でも胸部でもない箇所に魔石を有しているそうだ。言われても全然わからないんだけど、外から見てわかる特徴なんかはないんですか、これ。ぽこっと不自然に瘤になっているとか。まあわたしについて言えば魔石の有無どころかまず普通の蛇との違いすらまったくわからないわけだけど。
もっとも、これはわたしに限ったことでもなくて、ラシェト卿は魔物か普通の生き物かはなんとなくわかるが魔石の位置までははっきりわからない、お付きの人Aさんは普通の動物との差異がないと見ただけで魔物かどうかの判断はできないようです。Aさんは完全にわたしのお仲間だ。
「例外がないわけではないですよね」
「過去の記録で、手足の末端や腰部に魔石が発生した例は確認できているそうです。ただ数としては非常に少ない上に、なんらかの要因で一時的に魔力濃度が極端に上昇した土地での発見例であったり、実験下におけるものであったりなので、可能性としては無視しても差し支えないだろうと。それらの場合では魔石の帯びる気配は神造迷宮産とはまた異なりますし」
「はあ、なるほど」
「おそらくこれは魔石を呑み込んで魔物と化したものではないかと、殿下が。魔石を抱えているのが蛇の胃のあたりになるので。自ら呑み込んだか何者かが呑ませたかはわかりませんが」
え、魔石って食べたら魔物になる危険物質なんだ。なにそれ怖っ。
「……魔石を呑み込んだからといって、そう簡単に魔物になるわけではないですよね?」
これはお付きの人Aさん。
「古い実験では百体試して一体変化するかどうか、というところだったそうです。これは魚を用いてのものなので、種が異なれば結果も異なる可能性は当然ありますが」
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