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「……図録でも調べましたが、近辺に棲息する蛇にこのような見た目の種は確認されていないらしく」
「にゃー」
ねーねー。
「それはたしかに気になりますか。まあ生き物はちょっとしたことで元の棲息地から移動することも間々ありますが」
「にゃ~ん」
ねーねーねーねー。
「ただの動物であればよかったのですが、中身が神造迷宮産なのです、明らかに」
「うにゃー」
ねーねー、ねえってば。
「あー、そういうのってやはりはっきり違いがわかるものなんです? 迷宮産とか人工のとか」
「神造迷宮由来で本格的な加工が入っていないものであれば、神の気配が残るので。どの神によるものかまでは知識がなければ判別できないにしても、神による産物であることはわかります。グィノソフィアともニフニとも異なる力であることも。これに関しては殿下にも御確認いただいているので間違いはないです」
「にゃーーー!」
ねえ、お話し合いもいいんだけど、ちょっと上見てよ上! なんか飛んでるんですが!
肩乗り仔猫をやってる都合上、耳元で大音声(わたし比)にゃーをぶちかますわたしの頭を、宥めるように指先でちょいちょいと撫でるオーリ君。
「もしかして鷲獅子見るの初めてなんですかね、えらい興奮してますが」
お付きの人Aさん、正解です。
鷲獅子、グリフォンってやつですね。ドラゴン同様にファンタジーでお馴染みの架空生物。それが三体、さっきからわたしたちの頭上、それほど高くないところをばっさばっさ飛んでます。にも関わらず人間三人、オーリ君とラシェト卿とお付きの人Aさんと全員揃って反応薄いあたり、どうやらグリフォンは現地民的にあまりレア度高くない――というか馬と同レベル扱いなんですかねこれは。リオニルはめっちゃ興味津々って感じで尻尾ぱたぱた揺らしながら上を見てますが。ちなみにリオニル、オーリ君にがっちり抱え込まれてます。いまこいつを自由にしてたらヤバいって思われてるでしょ。
上を飛んでいる三体の鷲獅子は、それぞれに人を乗せている。鷲獅子三体に対して、乗ってる人の数は計四人。一人乗りが二騎で残りが二人乗りですね。そしてこの乗ってる人たち、上空を飛び回りながら鷲獅子の背から背へ移動したり荷物を受け渡したりと、なんか曲芸じみたことを色々やっている。
いや、ちょっと、危なくないのあれ、と冷や冷やしてるのはわたしだけのようで、オーリ君もラシェト卿もちょっと上に目を向けるくらいしか反応してないし、お付きの人Aさんも「うわ、危なっかしいなあ」とぼそっと呟いただけ。
ていうかあれ有識者?から見てもちゃんと危なっかしくはあるんですね。
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