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なんでも、第十班の人が逃がしてしまったというのが、見た目その辺に生えてそうな雑草みたいな魔物だそうです。うっかり草むらに追い立ててしまったところ、そのまま普通の草に紛れてどこかへ行っちゃったそうです。
というわけで、夕食後に第一班から第十班まで皆さん総出で草刈りを行うことがラシェト卿の命令により決定した。植物型で下級の魔物ならば積極的に広範囲の移動はしないだろう、よって問題の魔物を逃がした周辺をくまなく探せば発見は容易、ついでに草刈っとけ、とのことだ。監督役にはお付きの人Bさんが指名されている。
労基――じゃなくて、この人たち軍隊かなにかの治安組織っぽいから人事院? この世界に労基法や人事院規則的なものがあるかどうか知らないけど、いきなり夜に予定外の草刈りなんかやらせて就業規則に引っかかったりしないのだろうか。
第一隊という別の部隊でもなにやら逃がした人がいるらしいけど、そちらはラシェト卿から担当者に話を通して明日にでも捜索させるそうだ。
思ったけど、魔物が逃げたぞーってわりには緊張感がない。危険性ありとは誰も思ってないような感じだ。ラシェト卿が怒っているのも主に管理が雑だとか報告がなされなかったことに対してのもので、危険物を放流したからというわけではなさそうだし、訓練用に調達された魔物というのはよほど弱々個体だったらしい。RPGでスタート地点の村を出てすぐのフィールドで遭遇する最弱モンスター的な?
んん? そこの袋の中のご遺体は、生前わたしに向かって火の玉ぶつけてきたよね。見た目はなんの特徴もないただの茶色い蛇でもあれは文句なしの危険生物だったと思うんだけど、じゃあここの人たちの訓練用の魔物より強い個体だったってことになります? ていうかこの世界では普通の蛇でも火を吐くんじゃなくて、あくまで魔物だったからですってことでOK? 魔物じゃない普通の蛇は普通に蛇してるって思っていて大丈夫?
でも、普通じゃない魔物の蛇だというんなら、なんで街中の、住人のいるお宅の庭なんかにいたんだろう。雑木林っていってもあれ天然の林じゃなくてしっかり人の手が入ってる庭だし、危ない生き物がいたら即排除しそうなものなのに。謎だ。リオニルがどこか余所で捕獲したのを運んできた、なんてことはまさかないだろうけど。……ないよね? もしかして、ちっこい竜の行動半径によっては、街の外から頑張って持ち帰ってきましたーだったりの可能性あり? いやいや、さすがにそれはないですよね? ないと言ってください。もしリオニルにそんな習性があるんだったら、同居は考え直さないとならない。毎日火を吐く蛇を連れ帰るような生き物と一つ屋根の下で暮らすのはちょっとご遠慮したいかなー、なんて。
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