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以前いた猫が老衰死したというのがどのくらい前のことなのか、あとリオニルがいつからいるのかはわからないけどさー、絶対にいま現在の状況は鼠駆逐済みだって。メイドさんたちに食べる物貰ってご機嫌でくるくる鳴いてたのを思えば、リオニル普段から厨房に出入りし慣れてそうだし。
「……鼠除けのお守りくらいにはなるかと」
なんかすっごい微妙な声音で言うオーリ君。自分でも「あ、リオニルいたら別に猫いらないな」って思ってるでしょー!
「猫がいれば鼠は寄りつかなくなると言いますからねえ」
いるのが竜でも寄りつかなくなると思います。むしろ竜のほうが効果ありそうじゃない?
まあいいけど。わたしは今日から鼠除けのお守りです。野生の猫から飼い猫にクラスチェンジです。衣は要らなくて食と住ゲットです。
ラシェト卿のお付きの人AさんBさんの目がわたしとリオニルを行き来して「そもそもこいつら同居させて大丈夫なの?」と語ってる気がするけど、正直その気持ちめっちゃわっかるー。わたしも昔、大型犬室内飼いしてた同級生の子が新たに兎も飼い始めて「大丈夫? 人間の留守中に兎が犬のおやつになってたりしない?」って思ったことあるもん。ちなみにその子のお宅では犬の行動範囲と兎部屋を完全に分けて直接の接触機会ゼロで対応してました。
「ところで名前もうあるんですか、その猫」
「たしか林檎漬けとか」
いわないよ!? いいませんけど!?? いわないからね???
林檎の呪いが強すぎるんですけど! 余所様に広めて既成事実化しようとするのやめー!!
てしてしてしてし、ぱしぱしぱしぱし、手と尻尾を駆使して遺憾の意を表明する。ここで主張しないと本当に吾輩は林檎漬けであるになってしまう。
「はは、あまりお気に召していないようですよ」
お気に召しませんとも。せめて林檎ちゃんならまだ諦めもついたけど、林檎漬けってなんですか漬けって。漬けと呼ばれるほどには漬かってないですからね林檎汁。よって被命名者は再考を要求します!
「で、今日はどうされたんです。剣の稽古ならあれに混じってみます?」
ラシェト卿の言うあれとは、向こうでひたすら一対五やってる皆さんのことだろう。いまって夕方遅め、夜になりかけってところなんだけど、彼らはいつまで訓練やってるんだろう。騎士さんか兵隊さんか知らないけど大変ですね。
それはそうと、オーリ君って剣使えるんだ?
「いえ、それは別の機会にでも」
「それは残念。まあいいや、こちらはいつでも歓迎しますよ」
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