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愛されキャットはじめます in 異世界  作者:
 

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 ここで唐突に秘められた力が覚醒して他の人たちの頭の上にネームプレートなんか見えるようになったりしないだろうか。そんな思いを込めてわたしはじーっとラシェト卿を見つめる。

 ラシェト卿は年齢二十代後半くらいの、少し癖のある茶髪をハーフアップにした男性だ。髪の長さは肩につかない程度。体格は物理戦闘系っぽい(※比較対象:殿下)。わかりやすく筋肉がっちりタイプではない。

 外見からの第一印象――なんか女性向け漫画や少女小説に、主人公の恋の相手からは外れているレギュラーキャラの一人として存在してそうなタイプ。こう、適度に戦えて情報収集もできてムードメイカーもこなせて、失敗してもある程度までは自力リカバリーできて味方に致命的なダメージは与えず話を転がせる便利キャラみたいな枠。例によってこれは単なるわたしの独断と偏見に基づく印象語りであって、実在する本人との関係は一切ありません。

 背後からだと片マント以外の違いがわからなかったけど、正面から見ると左右のお付きの人AさんBさんに比べて上着の装飾――主に襟ぐり周辺と袖口の刺繍に格差が表れていた。

 わたしがじとーっと見ているのがわかったのだろうか、ラシェト卿がオーリ君の左肩にちんまり乗っかっているわたしに目を留め、「どうしたんです、それ」と軽く首を傾げた。さらに右肩側のリオニルに目線を移して、

「非常食?」

 違いますー! 違いますけど!? え、違うよね???

 厨房で切り分けたお肉貰って喜んでるような飼いドラゴンは毛の生えた生の小動物なんか面倒で食べたがらないんじゃないかな、たぶん! まあめっちゃ追いかけられはしたけども!!

「サウラからの船荷に紛れ込んでいた野良猫らしいです。ギルドの食堂に運ばれた樽に隠れていたとか。こちらに入ってきたのをリオニルが追い立てていたので回収しました」

 サウラっていうのは昨日いた街の名前? あそこサウラっていうんだ、ようやく知った。そしてこの土地の名はなに。

 あとわたしが入ってた林檎樽の配達先はギルドってとこの厨房だったらしい。ギルドってどこ。オーリ君の口振り的に、ここはギルドじゃなさそうなんだよね。青ワンピースのメイドおばさまはいったい何箇所掛け持ちしてるんですか。

「へえ、飼うんですか?」

「前に、厨房に出入りしていた猫が老衰で亡くなってから鼠をよく見るようになった、と使用人たちが話していたので」

「ああ、鼠」

 相づちを打ちながらリオニルに目をやるラシェト卿。オーリ君も自分の右肩に掴まっている竜に目を向ける。

 うん、よほど覚悟ガン決まりの鼠も、リオニルが投入された瞬間お引っ越ししてるんじゃないかなー。


※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。

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