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姿勢を正す警備の人に会釈して通用門を抜ける直前、オーリ君は左肩のわたしと右側にへばりつくリオニルに視線を向けなにやら言いたげな顔になった。ここまで来てやっぱり置いてくとか言われても断固拒否するからね。ほらー、ここからまたお城まで戻るのも面倒でしょ。だからってここに放流されてもリオニルはいいとしてわたしは野生動物にあっさり狩られるかもしれないからね、そうなったら寝覚め悪いでしょ。なので諦めてわたしも一緒に連れていくのが一番いいと思います。
警備の人の着ているものは、守備隊の四人が着ていた服とは若干形が違っていて、生地もずっと濃い色をしている。でも系統としては似たタイプ。組織は別、性質は近似、みたいな?
通用門を抜けた先はがらんとなにもない土地、そして正面にお城が建っていた。
壁の向こう側、わたしたちが来たほうの敷地はお庭が雑木林化していたけど、こちら側は見事になにもなくて生えているのはわずかな雑草ばかりという様相だ。わたしのいる位置から見て斜め前方だいぶ遠いところに門塔があって、その上にワイン色、ダークグリーン色、濃紺、白と青半々の四枚の旗が掲げられている。旗に描かれた模様は距離が遠くてここからじゃわからない。そしてそこかしこに警備の人と同じダークグレーの制服を着た姿が見える。推定、ダークグレー服集団の本拠地。
青ワンピースのメイドおばさまはこれからこちらの敷地内にある食堂の厨房でお仕事らしい。どうもあちらとこちら掛け持ちで働いているようだ。てことはわたし in 林檎樽の納品先はここの食堂だった? ならわたしはここの敷地を出て街をうろつき、守備隊四人組を追いかけるうちに知らず元来た場所の近くに戻っていたということになるのか。仔猫の足なりにけっこう移動した気分だったけど、出発点と終着点を直線で結ぶと実はめちゃ近でした?
壁沿いに進んでお城の裏手に回る。かなり歩いているけど、メイドさんはお仕事先の厨房として、オーリ君はいったいどこになにしに行くんだろうか。それとその手の袋の中身……なんとなく想像はつくんだけど、なんの目的でそんなものを持って……。
メイドさんを建物の裏口のところで見送り、わたしとリオニルを連れたオーリ君は裏手側の石壁のほうに顔を向ける。そこは一面が運動場、じゃなくてこういうのは訓練場とか言えばいいのか、とにかくそんな感じの場所で、下のズボンはそのまま、上着は脱いでシャツ姿になっているダークグレー服集団が鍛錬に勤しんでいた。
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