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翼あるファンタジー爬虫類から必死に逃げるわたし、ばっさばっさ飛んで追いかけてくる白ちま竜。
生死を賭けた鬼ごっこは雑木林を抜けてもそのまま続行、やがて前方に現れる石造りの建造物。
回廊を走り抜け建物の中に侵入し長い廊下を疾走し、行き着いた温室は入った扉以外の出入り口がない袋小路だった。
葉っぱの植えられた鉢が並ぶ棚の下に潜り込むわたし、それを追って棚に激突し鉢を下に落とすちまっこ竜。間一髪で竜の前足を躱し別の棚の上に逃げるわたし、を狙って上からダイブしてくる白ちま竜。盛大にはたき落とされる鉢。これもぎりぎり回避して――。
白ちま竜がお遊び気分じゃなかったら、確実にわたしはここで命を落としてましたね、ええ。あちらは楽しい遊び、こちらはデス鬼ごっこ。世の中は理不尽である。
竜の攻撃を避けて避けて避けて、とにかく温室の外へ向かいたいわたしと、絶妙にわたしの邪魔をしてくる白ちま竜の攻防。余波でどんどんカオス空間に変貌していく温室。いつの間にか投げ捨てられいる蛇。ここまでずっと後ろ足で蛇掴んだまま飛んできたんですよ、ちまっこ竜のやつ。二兎を追う者は~って言葉はこの世界にないのだろうか。ていうか重くないわけ?
わたしと白ちま竜の攻防は、闖入者が現れたことによって突如中断された。
「待て、やめろリオニル、これはお前の玩具じゃない!」
盛大に暴れる物音を聞いて駆けつけてきたのだろう人間、ベオラード・オーリ君が、わたしを掬い上げて白ちま竜――リオニルというらしい――を制止した。
「猫を狩ろうとするな」
そうだそうだー! だいたい、わたしなんて肉もそんなについてないし、食べてもたぶん美味しくないよ。
さっきまで追いかけていた獲物のことはすっかり忘れたようにくるくるると甘えた声でじゃれつくリオニルをベオラード・オーリ君が捕まえ小脇に抱えたところで、第二の人物、偉い人風な黒衣の青年が現れたという次第。
まあだから、温室の中の惨状に関しては、白ちま竜のリオニルから逃げてただけの被害者であるわたしはほぼほぼ悪くないと愚考するわけですよ。
「申し訳ありません、殿下」
あとから来ただけのベオラード・オーリ君はぶっちゃけ無関係だし、悪いのは全面的にリオニルだと思います。
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