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「――ベオラード・オーリ、説明を」
感情を窺わせない静かな声を発したのは、三十歳前後ほどの、男性に言うのもなんだがそれはそれは美しい容姿の人物だった。
纏うのは丈がある黒の上衣。肩から胸の部分にかけて、左右どちらも複雑な意匠の模様が施されている。こう、端的に言うなら異世界ファンタジー漫画やゲームの偉い人、職種は物理系ではなく魔法系、みたいな衣装の人。右手には杖をついている。
長く伸ばした黒髪に灰色の瞳。漫画のキャラクターなら間違いなくクール怜悧冷徹冷酷枠担当でしょって感じの、よくできた人形のように整いまくった顔。外見に能力値を極振りしたような見目のくせして知力精神力魔力も種族限界まであります、みたいなエリートキャラに与えられそうなルックス。現代地球ならそのビジュアルだけで食べていけると思う、真面目に。
ゆったりした袖口から覗く右手と左手どちらも、手の甲から手首、着ているもので隠れてるけどおそらくはさらにその先まで、黒い模様が描かれている。守備隊所属の四人組も手になにやらあったけど、あっちは右手だけで色も赤色系だった。あと意匠の複雑さでは目の前の黒衣の美形の圧勝。
この街ではタトゥー流行ってるんですか? っていうより、ファンタジー的なにか意味のある模様なのだろうか。
黒衣の推定偉い人に対するは、まだ若い、かつての朱居泉葉より一つ二つ年下ほどに見える人物だった。
やや長めの白銀の髪に青みが強いブルーグレーの目をした、なかなかに顔の整った少年である。美青年と美少年、二人並ぶと色が黒と白で対照的になっててバランスいいですね。
着ているものはこちらも暗色の上衣で、青年の装束の簡略化バージョンのようなデザインをしている。袖口の装飾控えめ、肩から胸にかけて入っている模様も青年の上衣に比べるとややシンプル、かつ青年の着ているものでは左右対称の装飾が、少年の上衣では左側がほぼ省略されていた。
さて、この白銀の髪の少年、ベオラード・オーリ君とやらがいったいなんの説明を求められているか、なのですが――。
現在地、なんかガラス張りの温室みたいなところ。
わたしの現状、ベオラード・オーリ君の左手で胴をがっちりホールドされてます。
白いちまっこ竜、ベオラード・オーリ君が右手で小脇に抱えてます。
周囲の状況――並んでいた棚の上から叩き落とされた鉢、ひっくり返されたプランター、なぎ倒された地植えの草花、でろんと伸びているズタボロの蛇(故)。
有り体に言えば小柄な成猫サイズの空飛ぶ小動物と仔猫サイズの小動物が全力で追いかけっこをして暴れ回った跡、みたいなー……。
――…………これ、悪いのわたしじゃないからね?
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




