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竜騎士って、わたしが思う竜騎士で合ってる?よね?
ドラゴンライダー。竜に騎乗して戦う、ファンタジー作品ではお馴染みのやつ。
いまさっき見た竜は身体を傾けて飛んでたから、わたしの位置からはほぼお腹側しか見えなくて、上に人が乗ってたかどうかまではわからなかった。
とにかくスピードが速くてじっくり眺めるなんてできなかったのもあるけど。
思い起こせば、なにも装着していない素竜ではなく、腹部に装具らしいものがあったような、なかったような、たぶんあったような。
お兄さんたちによればいまのはスルフェルという名前の緑竜らしい。緑色してたっけあれ。言われれば緑っぽかった……かも?
若い二人、特にダークブラウン髪のほうのお兄さんは、竜に興味があるっぽい。早く戻りましょうよ、なんて他の三人を急かしている。どうやら、四人が戻る方向=竜が向かった方向であるようだ。
「お前、まさか真面目に竜騎士隊志望とか言わないよな」
「それはねえよ。……運があればもしかしたら、とはちょっと思ってなくもない」
「運って、あのな……」
小声の会話を聞きながら、わたしも四人について歩く。
彼ら同士のやりとりや街の人からの声がけでわかったことだが、この四人は守備隊というところに所属していて、現在は定時の巡回のお仕事の真っ最中だった。守備隊っていうのは、警察相当の存在と思っていいんだろうか。それか警察兼軍かな。なんにしてもおそらくは公権力。ってことはちょっと青みの入った灰色のお揃い服は彼らの制服ですね。
話題が通過したばかりの伝令の竜の件に偏るおかげで、短時間で緑竜スルフェルとマルロー卿という竜騎士についての基礎知識を得ることができた。
スルフェルは七十数歳で、竜としてはまだ若いほうに入る。
マルロー卿は二十六のときにスルフェルの誓約者となった人物で、それより前は従騎士としてスルフェルの最初の誓約者に仕えていた。
マルロー卿は御年七十三歳でスルフェルとほぼ同年である。一度は隠居したが、マルロー卿の次の誓約者が現れなかったことと、戦死者が相次いだ時期があり戦力確保の必要性が高まったことから現役復帰した。
本来は誓約者が現役のうちに次の誓約者候補を確保し、竜騎士隊の従騎士の身分を与えて教育を施すものなのだが、いまもスルフェルの誓約者候補は存在しない。
現在、北と南東の各一隊、東のニ隊、計四隊の竜騎士隊の中で、誓約者を持たない竜は三体いる。
誓約者っていうのは、竜に乗る人間を指す言葉のようだ。
竜に気に入られれば誓約者の控えとして竜騎士隊に配属される可能性が出てくるというので、たまに伝令として竜騎士が飛んでくると、現役兵士から近所のお子様まで、竜に興味ある人々が集まるらしい。
こんな感じで竜のことは少ーしだけわかった。
ところでこの街って、なんて名前なんですかね。ちょっと会話の中で地名の一つや二つぽろっと言ってくれてもよくないです……?
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