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お兄さんの指の示す先、海鳥の群舞のその向こう、鳥たちに紛れて砂粒サイズの黒い影がひとつ、中空に大きな円を描いている。
同じ動きを三度繰り返し、そして次に砂粒は真っ直ぐ街に向かって降下してきた。ということは、あれが降りてくる伝令ですか。伝令っていうから人間だと思ったけど、鳥?
近づくにつれて砂粒から米粒を経て豆粒にランクアップした影には、翼がある。広げた両翼で空を滑るように降りてくる。伝書鳩……じゃないな。距離があるせいで最初はよくわからなかったけど、手前の海鳥との比較からしてあれは鳩サイズでは絶対にない。
さらに降りてくる豆粒あらため――豆より大きいサイズの喩えに手頃なものってなんだろ。ぱっと思いつかない。マスカットとかキンカンとか? ……って、そんなのなんでもいいんだけど。
最初の砂粒から比べて随分と大きくなった影は、とうとう海鳥の群れの中に突入した。逃げるように散って場所を空ける鳥たち。
――――――?
――――ううん……?
――――あの、あれ、なんかめちゃくちゃデカくないです???
わたし、空を飛んでるのはウミネコとかカモメとかかなーなんて漠然と考えていたんだけど、ウミネコやカモメって翼広げたらけっこう大きな鳥じゃなかった? 少なくとも日本の海鳥はそうだったと思うんだけど。
滑空して近づいてくる伝令、飛んでいる海鳥と比べてすっごく大きい。大型猛禽類どころじゃない大きさに見えるのは気のせいですか。
そして、ここまで近くなってわかったんだけど、なんとなーく鳥らしからぬフォルムをしてらっしゃるような。具体的には蛇やトカゲのような先細りの長い尻尾が見える。そして翼は羽に覆われた鳥の翼とはなんか違う。
さらに降りてくる。わたしから見ると前方斜め上、やや急角度で見上げた先を、身体を傾けてこちらに腹部を見せる姿勢で猛スピードで通過する。
…………わたし、あれ知ってる。
前世で見たことある。
いや本当に見たことはないんだけど、でも見たことある。漫画や小説、アニメにゲームに映画、つまりフィクションの中で。
雑に説明すると厳つい顔して角を生やしたトカゲに翼をくっつけた見た目の生き物。
ドで始まってンで終わる四文字、あるいは漢字一文字のやつ。
英単語ならDから始まるアルファベット六文字。
知名度抜群、超有名ファンタジー生物――――。
――ドラゴンじゃん! 鳥じゃないじゃん! 竜じゃんあれ!!!
どういうことなの!?
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