145
「――あのさあ」とミケちゃんがなんだかきらきらした目で言いだした。
「もしもだけどさ、もしも俺がニフニの加護を貰えたら、一番最初ってことになるんだよな?」
「それは……たぶん?」
「たぶんってなんだよ」
「いやだって神様の加護って人間以外に与えられることもあるからな? あと加護を得た人間が生涯沈黙を貫いていたら外部からはまったく知りようがないだろ。だから、ニフニの加護を得たと公言する人間が現れたことが過去に一度もないのは確実だが、これから誰かが加護を得るとして、その人物が間違いなく最初の加護持ちになれるとは言い切れない。つーわけで、たぶん、な」
そうジルドナート青年に説明されて、ミケちゃんはわかりやすくむすーっとした顔になった。
「……兄ちゃんさあ、つまんねーこと言う奴って言われたことあるだろ」
「ないけど?」
「嘘つけ」
「嘘じゃねえよ。俺は正真正銘の正直者だし。そんで、なに、ミケイレはニフニの加護が欲しいのか?」
「ミケ!」
すかさず訂正してくる。そんなにミケイレって呼ばれたくないんだろうか。
「……いや、別にニフニがいいってわけじゃないけど」
急に視線をあちこちにさまよわせだしながら、ミケちゃんはもごもごと言った。
「……一番ってなんかいいじゃん、特別って感じで」
「あー……それはまあ、たしかに」
「誰でも貰えるウルーシュカの徴じゃなくて、人からすごいって思われる加護がいいの、俺は。ニフニはあまり格が高い神様じゃないからそこはイマイチだけど、これまで誰も加護を貰ったことがない神様の最初の加護なら自慢できるだろ?」
あのさ、言わせてもらっていいですか?
めちゃくちゃ不純だな、ミケちゃん。お姉さん聞いててびっくりだわ。
気持ちはわかるよ、よーくわかる。わたしだってちやほやされるの大好きだし、すごいすごいって言われたいし、特別って響きに魅力を感じるもん。自分の努力以外で得た評価だって全然オッケー。でもそれ大っぴらに語らないほうがいいやつー。
「そりゃ大神や上位神の加護が貰えるならそれが一番だけどさ、俺なんかがそんなすごい神様に目をかけてもらえるわけないだろ。俺も一応はちゃんと現実が見えてるわけ。だから中位神か、それより下だけどニフニなら、って」
必死になってジルドナート青年から目を逸らしているあたり、自分の言ってることが少々アレって自覚はしてそうな感じではある。
「とりあえずウルーシュカ以外ならなんでもいいんだけどさ。神様の加護が貰えれば食いっぱぐれなさそうだし。ウルーシュカ以外なら」
ほんとに不純だな!?
そしてなんだかウルーシュカが気の毒になってくるんですが。
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




