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ニフニの帰還図と一緒に少年が持ってきた他の絵も、それぞれなにかの一場面を切り取ったかのような構図のものばかりで、ざっと見たところ陶器皿に描かれていた絵と共通モチーフっぽいものはないようだった。ジルドナート青年のトーウィス゠ルアにまつわる絵はあるのかな。
「幼い頃に会ったっきりの祖父さんが死後数十年を経て神に転じ、しかも馬の姿でいきなり目の前に現れたってので、ニフニの孫娘はそれはそれは驚き思わず涙を流しましたとさ。――それが再会を喜ぶ嬉し涙なのか変わり果てた祖父の姿に対する嘆きの涙なのか、混乱のあまり情緒がおかしくなっての涙なのかはたまたそれ以外なのか、そこは解釈がわかれてるところだなー」
いやそれ解釈する必要あるやつ? 嬉し涙ですってことにして丸く収めとけばよくない???
「目撃情報が馬ばかりだから俺もずっと勘違いしてたんだが、普通に人間の姿にも戻るらしいんだよなニフニ。ヴェルゼン様や総督やオーリ様は人の姿のニフニ見てるんだとさ。ヴェルゼン様は逆に馬のニフニ見たことないって言ってたし。だから孫娘の前に現れるときになんで馬の姿のほうで出てきたのか謎だよなー」
「びっくりさせたかった?」
「かもなー」
……自分を孫娘の立場に置いて考えるとちょっといやかもしれない、死後半世紀近い祖父が突然馬に化けて現れるサプライズ。そんなだから涙の解釈がわかれてたりするんだろうか。
「なんでヴェルゼン様に会うときは馬じゃないのー?」
「さあ……。まあ他の神様の眷属の前に現れるときはそれなりに気を遣うんじゃないか? トーウィス゠ルアは中位神、総督やオーリ様の仕える神は旧き大神の一柱、どちらもニフニよりずっと格上の神だ」
そういうものなの?
……そんな自由にほいほい人型と馬と変えられるなら、ますます孫娘の人が可哀想に思えてくるんだけど。千年前の昔話に突っ込むのもなんだけど、せめて最初は普通に人の姿で現れてあげるわけにはいかなかったのか。
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