139
はーい、と子どもたちの一人が手を挙げる。
「なんで病気に強くなるだけなの?」
世界は違っても質問するときに挙手するのは同じなんだなあ。
「えっと、お兄さんはヴェルゼン様と同じ神様に仕えているんでしょ? ヴェルゼン様の加護は周りの人の怪我が治りやすくなるんだって聞いたこことあるよ。お兄さんは違うの? なんで?」
「それは俺がトーウィス゠ルアに徴を押しつけられただけのただの人で、ヴェルゼン様はトーウィス゠ルアの眷属、神使様だからです」
「いやお前、押しつけられたはないだろー」
通りすがりの人がジルドナート青年に突っ込んでいく。
「物心ついて以来トーウィス゠ルアに祈ったことなんか一度もなかったのに、たまたま祠の前を通ったらいきなり徴が出たんだぞ。押しつけ以外の何物でもねーんだわ」
「いくら欲しくても加護が貰えん奴がわんさかいるってのに、この罰当たりめ。その加護寄越せ」
「なんとでも言えや」
けらけら笑いながら通りすがりの人とジルドナート青年は軽口の応酬をする。
「ええと、なんだったっけ……ああ、俺とヴェルゼン様の違いか。トーウィス゠ルアはそもそも対疫病特化の神様なんだよ。疫病って、人にうつるような病気のことな。その中でも質の悪いやつ。それだからトーウィス゠ルアの加護は疫病に少ーしだけ罹りにくくなるのと、罹った場合にひどいことになりにくくなるって効果が基本になる」
さっきジルドナート青年は有り難みはあまりとか言ってたけど、要はパッシブスキル効果で伝染病対策できるよーってことだよね? なんか地味に良効果じゃない?
「これが眷属様になると加護の効果が強くなるんだとさ。准神官様は加護の効果が自分だけでなく周囲にも及ぶようになる、神官様は准神官に比べて効果が及ぶ範囲が広がる。で、神使様になると病気に限らず身体の不調全般に効果がある。だからヴェルゼン様を怪我人のそばに置いとけば傷の治りが早くなるし、俺じゃ周りに対しても怪我に対しても特になにも効果ないってわけ」
つーても、とジルドナート青年はつけ加える。「気持ち早くなるって程度で、劇的になにかが違うわけじゃないけどなー」
※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。




