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わたしの記憶が間違ってなければ、ジルドナート青年ちょっと前に休憩とりますとかなんとか言ってなかったっけ。言ってたよね?
宣言したからには休憩していればいいのに、お子様たちとわたしがいるところに寄ってきてベンチに腰を下ろした。ちょうどわたしの入っているバスケットのすぐ隣だ。そして唐突にわたしに手を伸ばしてくる。
「おー、軽いしちっちぇえー。よく伸びるし」
うん、まあね、仔猫なんてそう重さはないしね。それとわたし微妙に短毛か長毛か迷うような毛の猫なので、見た目より若干軽いかもしれないしね。
それはいいんだけど、ジルドナート青年がよく伸びるーとか言ってるの、わたしのお腹の皮だったりするんですが。乙女の腹部を断りもなしに摘まむとは何事か。不躾なんてもんじゃないですよ。どこかに落っことしてきたデリカシー探して拾ってきなさい。あと仔猫のお腹って大人の猫に比べてそんなに皮膚伸びないと思う。
ていうか本当におとなしく休憩してなよー、と、わたしに人の言葉が話せていたら絶対言ってた。さっき思いっきり流血してたんだからさー。しばらく横になって安静にしてたほうがよくない? 歩き回っているうちに血が足りてなくてバッタリとか怖いでしょ。もしかしたらそのへんも魔法パワーでどうにかできるから問題ないのかもだけどさー。傷の治りを魔法で早められるなら、造血スピードアップなんかもできそうな気はするし。
まあ立つも座るも横になるも、そんなのは本人の自由だからわたしが口を出すようなことでもないんだけど。ていうかにゃあとしか鳴けない身では口出したくても出せないんだけどそれはともかく。
ううーん、わたしよりかはジルドナート青年本人のほうがよほどちゃんと自分の怪我の状態を把握してるだろうとはぶっちゃけ思っている。なのでおとなしく横になっててくれないかなーっていうのは単にわたしの気分の話ではあるんだよねえ。
……あとね、これはちゃんと主張しときたいんだけどね、あまり猫を弄り回すんじゃないですよ。前世人間だったわたしだからまだ黙ってされるがままになってるけどねー、普通の猫ならそろそろキレてるよ。
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