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起伏の多い土地のようで、広い通りも細い路地も、どこもかしこも上がったり下がったり坂と階段だらけの街だ。大規模な整地を行うことなく、元からの地形をそのまま利用してますタイプ。道に敷かれた石畳が天然の模様を描く、古き良きヨーロッパの街角みたいなテーマの風景写真集の中に収められていても不思議じゃないような、そんなところ。
剣なんていうわたしからすれば時代錯誤な代物を帯びた四人組の姿は、そんな街中にあって自然に馴染んでいた。まるで西洋時代劇やファンタジー映画の中の、なんでもない一シーンのように。
……なんか外国っぽい知らない土地ってだけで充分に非日常的光景だからね、わたしにとっては。わたし元は外国旅行経験皆無の日本人だからね、日本以外どこへ行ってもめちゃくちゃ非日常を感じられる自信あるからね。
それに加えて剣ね。非日常×非日常ね。マイナスとマイナスをかけたらプラスだけど、ならば非日常同士で乗算したらなにになるんでしょうね?
とことこ四人組の足元まで近づいていって下からじっくり眺めてみたけど、なんか本物の剣のように見える。まあ実物なんか見たことないから、そう思うってだけなんだけど。本物であれ外側だけの偽物であれ、剣を提げているベルトの様子からしてしっかり重量ありそう。
あと鞘がね、木と皮革とで作られているみたいだけど、いかにも普段使いしてます~って感じに汚れてたり細かい傷があったり。これが仮に、コスプレ衣装や映画撮影の小道具なら、すっごく手が込んでますねー。
四人組は全員男性、年齢は二十代前半から半ばくらい二名、三十前後一名、三十代半ば一名ってところかな。髪の色は若いほうから順に、ダークブラウン、ライトブラウン、褪せた金髪、黒。全員がやや青みがかった灰色の上下で、足には頑丈そうなブーツ。腰の剣がなければ、どこかの工事現場の作業員グループですと言ってもぎりぎりいけなくは……いや微妙か……?
服装と帯剣以外の四人の共通点がもうひとつ。みんな右手に鮮やかな模様がある。デザインはみんな同じで、色味は違う。明るい赤、ちょっと薄い赤、赤寄りの紫、薄ぼんやりした赤。なにか意味があるんでしょうかね? 全員お揃いのタトゥーなんて仲良いですねー……ってわけじゃないよね、たぶん。
「――さっきからなんか猫が尾いてくるんですけど」
「お前なにか食い物でも隠し持ってんじゃないか?」
あ、バレてた。別にこそこそ隠れてるわけじゃない、それどころか足元うろちょろしながらじろじろ観察していれば見つかって当然ではあるけれど。
「なんか湿気ってんなこいつ。井戸にでも落ちたか?」
「なにか甘い匂いしません……?」
あ。
四人組の会話で思い出したけど、わたしいま林檎の果汁でしっとりべとべとキャットだった。
やだー、どこかで洗い落とさないと。このままだと匂いに虫が寄ってきてしまうかも。
昨日の街では朝市の広場に井戸が点在していたけど、ここも広場に行けば井戸あるかな。池でもいいよ。
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