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これは子どもたちのメンタルヘルスのためでもあるからね、と遠慮なくふしゃーっ!!とやるわたし、それからちょい引き気味のミケちゃんたちを見て、ジルドナート青年は遅ればせながら自分の姿を顧みることを思い出したらしい。
「あー……びっくりさせたな、悪い。着替えたほうがいいかなこれは」
着替えも必要だけど血に染まった髪の毛をまずどうにかするのが先だと思います。負傷した顔面はちゃんと洗い流したみたいだけど、髪の毛までは手つかずなせいでだいぶ見た目が怖いことになってます。その状態だとぱっと見が頭部負傷して血を流してる人ですよ。というようなわたしが思ったのとまるきり同じことをミケちゃんと年長の女の子が代わる代わる口にする。みんな考えることは同じだ。苦言を頂いたジルドナート青年はすまんすまんとお子様たちに謝罪し、どこかへ――建物の奥のほうへ去っていった。
衝立なんかで簡易的に仕切られていてちょっとわかりにくいけど、この建物ってけっこう奥行きがあるみたいだ。衝立や棚など空間を区切るのに用いられている家具類を片づけたらちょっとした屋内競技場くらいになるかもしれない。
それにしても、自分の足で普通にちゃんと立った状態で迷宮から出てきたおそらく分類は軽傷者であると思われるジルドナート青年ですらあの流血って。あれで本人平然としてるのも驚きなんだけど。ああいうの普通にあるんだ? ファンタジー世界怖っ。
ていうか、あの怪我ってわたしがうっかり事故で入り込んじゃったあの暗ーい街で負った傷なわけでしょ。あそこ、探索者としての歴や実力は知らないけどとりあえず健康的な若者であるところのジルドナート青年があっさり負傷するような危険がある場所だったんだ? しかも自力で歩行できないレベルの重傷者も出てるし。
えええ……、もしかして迷宮に入っちゃったときのわたし、自分史上最大の危機でした? 自分ではまったくそんな危険感じなかったけど、先行部隊の皆さんがいないときに自分一人の転移だったら例の白い紙粘土細工みたいな魔物にぷちっとやられて猫生終わってたのだろうか。
うわー、やだなそういう終わり方。殺されるなら殺されるで、せめて自分がなにに殺されたのかはちゃんと知って逝きたいんだよね、わたしとしては。謎の紙粘土っぽいなにか、じゃなくて正式名称プリーズ。あとどうせ魔物にぷちっとやられるならもっと格好いいモンスターのがいいかなーともちょっと思っちゃったり。
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