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わたしの中の迷宮のイメージって真っ先に出てくるのが前世で遊んだゲームに登場するダンジョンだし、さっき実際に入った銅版迷宮は真っ暗闇で生き物だかなんだかすら不明な変な魔物が棲息してたしで、完全に迷宮すなわち危険な場所の方式が成立しかけてたんだけど、そうと限ったものでもないのかもしれない。
果樹園とか薬草の家とか、なんかいかにも平和そうな名前だよねー。やっぱり果物が実ってたり薬草が生えてたりするのかな。迷宮内に農村みたいな?
お子様の立ち入り可ってことは、少なくとも向こうから襲ってくるタイプの魔物はいないのだろうし。危険が予想される迷宮はノーサンキューだけど、あと光ゼロの真っ暗闇もご遠慮願いたいけど、平和なだけの場所ならちょっと行ってみたい。
でも、一応は迷宮と呼ばれるところに、ミケちゃんや年長組の女の子はまだしも低年齢のお子様たちが出入りするってそれどうなの?とも思います、わたし個人の意見としては。特に幼稚園児相当くらいの最年少組三人。
ていうかわりと不思議な集団だよねー、この子たち。お子様が一緒に行動する友達としてはちょっと年が離れているもん。
あれですか、ご近所さん仲間ですか。異世界にも子供会的なものが存在してたりするのかな。
「なーなー、俺ら迷宮に入れないと困るんだけどどうにかなんねえの、眷属サマ」
ぶすくれた顔のミケちゃんがぞんざいな口調で声をかけた相手は、通りがかったヴェルゼン様だった。
いやちょっとミケちゃん、その不機嫌丸出しな口調はどうかと思う。相手様は明らかにお偉い人じゃん。よくそんな態度とれるな。勇者か。
ヴェルゼン様は特に咎めるでもなく、ただ首を横に振った。
「どうにもなりません。小遣い稼ぎはしばらく諦めなさい」
「えええ!?」
「現在、探索者ギルドが人員をかき集めて新たに追加された五十二枚目の内部を探索しています。が、非常に広いこともあり進行は芳しくない。未だに五十二枚目以外の銅版発見には至っていない状況です。運がよければ君たちの目当てが真っ先に発見されるでしょうが、その逆に相当の間未発見のままとなるかもしれません。銅版の配置はニフニの意志です。我々には窺い知る術がない」
ヴェルゼン様、大人を相手にしているときと違って子ども相手だとですます口調になるタイプらしい。わりと、いやかなり失礼な態度のミケちゃんにちゃんと親切に答えている。
どうもこのお子様たちとヴェルゼン様、わりと距離が近い感じがする。子どもたち全然緊張とかしてないもん。雰囲気的には顔馴染みっぽい。ミケちゃんの態度が許されてるのもそれでじゃないだろうか。
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