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「台下」
「ベオラード・オーリ様」
ヴェルゼン様に対して、右の掌を左胸に当てて頭を下げる礼をとるオーリ君。その正面ではヴェルゼン様がまったく同じ礼をオーリ君に対して行っている。
そしてみぎゃあと悲鳴を上げる間すらなくオーリ君の肩からころんと転がり落ちるわたし。途中でオーリ君にキャッチされたので床への無様な落下は回避できました。
いやこれはちょっとうっかり油断してただけ! 断じてほけーっとしてたわけではなく! だって殿下以外にオーリ君が頭を下げる場面ってここまで全然なかったから! そのせい!!
――つまり、ヴェルゼン様は立場がかなり上のほうの人ということだよね。台下っていう敬称、仏教の偉い僧や教皇聖座にいらっしゃる方への敬称として使われていたような覚えがある。習ってもいないのに謎に現地語を理解できているわたしの言語能力がどこまで適切に言葉を翻訳しているのかは不明だけど、疑ったところでどうにもならないのでとりあえず信じておくこととして、じゃあやっぱり台下と呼ばれるヴェルゼン様は相当に偉い人なんじゃないだろうか。
……じゃあオーリ君は?
よじよじとオーリ君の腕を登りながら考える。同じ肩乗りペットをやっていたリオニルは、丈夫な爪を使ってオーリ君の上衣にしっかりと取りつくことで落下を免れていた。おのれ。
それはともかく、オーリ君とヴェルゼン様の上下関係がよくわからない。両手どちらにも紋様があって、細部は異なるものの似たような形の衣装を身に纏っていて、他の人たちから頭を下げられていて、でヴェルゼン様と殿下やオーリ君は同じような立場にあるっぽいけど、オーリ君が頭を下げる相手が殿下とヴェルゼン様で、殿下はオーリ君に対して頭を下げることはなく、ヴェルゼン様はオーリ君に対して頭を下げる。一番偉いのが殿下なのは確定として、ヴェルゼン様とオーリ君はどうなんだろうか。
着ている衣装的には金糸の刺繍が施されているヴェルゼン様が一番偉そうにも見えるけど、殿下やオーリ君とは紋様が異なっている、すなわち所属だかなんだか属するグループが別とも解釈できるので、衣装の装飾では判断できなさそうな感じもする。
結論、よくわからなーいとしか言いようがない。
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