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愛されキャットはじめます in 異世界  作者:
 

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09

 突然ですが、アイアム樽の中に閉じ込められなう。

 なんでこうなった。


 ――えーと、順を追ってざっくり説明すると。

 猫を狩りにかかってくる可能性のある鳥類に脅かされない寝床を探すわたし。

 あっちこっちふらふらするうちに元いた広場を離れ、いつしか路地に入り込んでいたわたし。

 通りかかった建物の扉前にいたでっかい――仔猫の主観ではなく前世の朱居泉葉の頃のわたし基準でもとても大きい――犬のひと吠えにびびって走りだすわたし。

 走り回った末に侵入したどこかの家の二畳ほどの広さの中庭で、仔犬の群に遭遇するわたし。たぶん芝犬の子供サイズくらいの、人間にとってはちっこいわんこだったんだけど、奴らいまのわたしよりはずっと大きいのだ。仔猫からすればただの脅威である。

 仔犬の出入りのためか細く開いていた裏口から家の中に無断侵入するわたし、を追ってくる焦げ茶色をした毛玉ども。そりゃそうだよ、この家こいつらの縄張りだよ。なんで家の中に逃げちゃったのか自分。

 猫の身軽さを活かし、高所に逃げるわたし。高所って要するに棚の上なんだけどね、食器棚。仔猫がよじ登れる程度なので言うほど高所ではない。

 食器棚から壁の飾り棚に飛び移るわたし、わたしが蹴落として床に落ちていく三枚の小皿。幸い割れなかったしわんこにも当たらなかったからセーフですセーフ! わざとじゃないから! たまたま飛んだ先にお皿があったの!!

 狭い飾り棚の上に追いつめられた形になって焦るわたし、わたしがいる飾り棚の下できゃんきゃん騒ぐ仔犬たち、そこに加わる大犬たち。仔犬のパパとママかな、見た目から明らかな血の繋がりを感じられる。毛色がてんでばらばらで統一感の欠片もないわたしの猫家族とはえらい違いである。

 自分がいる飾り棚が、仔猫や仔犬にとっては高所でも、成犬にとっては必ずしもそうではないことに気づき、さらに焦るわたし。ちょっと後ろ足で立って身体伸ばせばぎりぎり棚に前足がかかりそう。

 脱出経路を求めて部屋の中を見回し、出窓に活路を見出したわたし。少し距離があるのがネックだが、空気を入れ換えていたところなのか窓は開いている。つまり外に出られる。

 覚悟を決めてえいやっと宙を舞うわたし。目測を思いっきり誤って出窓ではなくカーテンに飛びついてしまったわたし。引っかかった爪を外して飛び降りれば目的の出窓前なので問題はない。そしてわたしを追っかけてどやどや移動してくるわんこ一家。仲良しかこの群れ動物め。

 ぐずぐずしていたら狩られてしまう、と前方未確認のまま再び宙に飛び出すわたし。走行中の幌馬車に直撃――ではなく、幌の隙間から荷台にホールインしてしまったわたし。嘘でしょ、タイミングすごすぎない? ていうか馬車なんて初めて見た。朝市の広場では荷物運びをするロバもいたけど、このあたりでは馬やロバが現役なんですね。

 走る馬車から飛び降りようにもスピードがなかなか落ちず怖じ気づくわたし。走行中の車から飛ぶのは勘弁願いたい。絶対ひどいことになる。

 なかなか馬車が停まらないので、諦めて積み荷の隙間でひと眠りすることにしたわたし。積み荷は野菜を詰めた木箱だった。重量ありそうだから荷崩れしたら最後、潰れ猫待ったなし。怖っ。ロープがかかってるので大丈夫だと思いたい。にしても、全然停まらないけどどこまで行くんだろう、この馬車。

 そして、首根っこを掴まれて持ち上げられ、目を覚ますわたし。どうやら馬車は目的地に到着したようだ。そして荷物を降ろそうとして無賃乗車していた仔猫を発見した、と。無断で乗り込んだのは事実ですが、不可抗力の事故だったんですよーいえ、ホントに。

 自分をぶら下げるおじさまの隙をついてその手から逃れ、一目散に逃走するわたし。そこは荷物の集積所のようだった。人多い。しかも皆さん屈強という単語の擬人化みたいな感じの方々だ。あと荷馬車を牽く馬も多い。……フォークリフトとかクレーンとか全然ないですね???

 うろうろするうちに倉庫の中に入り込むわたし。見知らぬ他猫たちに混じってこっそりご飯を頂くわたし。なんか倉庫で飼われているっぽい猫たちがいたんですよ。近づいても攻撃とかされなかったんですよ、まあ構われもしなかったんですけど。ご飯を持ってきた人も、仔猫が一匹増えていても特に気にするようでもなかったので、そのままご飯食べさせてもらいました。

 そして、倉庫の隅っこで見つけたボロ布の上でひと眠り決め込むわたし。ボロい布でも汚れてたり臭ったりするわけじゃないので、それならないよりはマシだろうと思ったのだ。それだけだったんだけどねー……。

 次に目覚めたらわたしはなんか揺れていたし宙に浮いていた。どういうこと???とパニックになりかけたけど、なんのことはない、人間に持ち上げられているだけだった――寝る前に下敷きにしていた布ごと。

 そしてわたしは林檎の入った樽の中に投入されたのである、布ごと。

 ……なんかねー、寝ているうちに布にくるまっちゃったんじゃないかなーわたし。それで、わたしが布に潜っているのに気づかないまま、あくまで布を樽に詰めるつもりで、わたしごとインしちゃったんじゃないかなーと。林檎、樽の口までいっぱいに入ってなくて余裕があるから、緩衝材としてそこらにあった布でも詰めとけーみたいな。まさか布の中に猫がいるとは夢にも思わずに。

 ――いや、気づけよそこは。布だけなのと布+猫じゃあ重量が違うでしょうが重量が! 注意力散漫か!

 まあ、わたしも目が覚めた段階でにゃーとかふぎゃーとか鳴いて存在をアピールしておけばよかったんだけどね。あまりのことに呆然としていたら鳴き声を上げるタイミングを逃してしまった。

 そして現在。どうやら仔猫(わたし)イン林檎樽はどこかに運ばれているらしい。


※書いている人間は絵文字、とりわけ黄色のフェイスマーク全般があまり好きではないため、リアクション機能の使用は控えていただけると助かります。

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