第1話:おっさん、変身(トランスフォーム)する
第1話:おっさん、変身する
朝の光がカーテンの隙間から差し込む。
枕元には、娘の忘れていった魔法少女の変身ステッキ。
——いや、正確には“ガチャで当てた玩具”だ。
村井誠五、52歳。
職業:営業マン。
趣味:レトロアニメ鑑賞。
特技:特になし。
そして——魔法少女を、こよなく愛する男である。
「はぁ……また魔法少女が打ち切りかぁ……。今の時代、流行らないんだろうな」
ため息混じりにテレビを消すと、
彼の胸には、妙な寂しさが広がっていた。
若い頃、誰もが“ヒーロー”に憧れた。
だが、誠五は違った。
戦う少女たちの背中に“夢”と“覚悟”を見たのだ。
「変身して、世界を守る」——その姿に。
だが現実は、残業とローンと腰痛。
魔法少女どころか、自分の体ひとつ守るのが精一杯だ。
「ま、俺が魔法少女になれたらなぁ……」
半分冗談、半分本気で呟いた、その時——
——ピコン。
古びたスマホが光り、画面に奇妙なアプリが浮かんだ。
【まほ☆おっさんメーカー】
評価:☆1.2/レビュー:「人生変わった」「戻れない」「やばい」
「おいおい、誰が作ったんだよこんなの(笑)」
そう言いながら、誠五は何の気なしに“インストール”をタップした。
次の瞬間——
部屋が、まばゆいピンク色に染まる。
風が巻き起こり、スーツのネクタイが宙に舞う。
——Ready… Complete.
電子音とともに、彼の体に光のリボンが巻きついていく。
眩しさの中、誠五は叫んだ。
「ちょ、まっ……!腰がッ!腰が光ってるぅぅぅ!?」
やがて光が収まった時、
鏡の中には——スカートをはき、杖を構えたオッサンの魔法少女が立っていた。
「……マジかよ。似合ってる、のか?これ。」
——ここから、世界の命運を握る“オッサン魔法少女”の物語が始まる。




