一期一会でありがたい
貴重な出逢いはあるものですが。
たまたま居合わせたやつが
ものすごくいやなやつだったとしても
これも一期一会だってあきらめて
おとなしくうけいれることにする
どぶをふいたぞうきんを あたまにのっけて
たれてくるきたない水が くちびるにせまるたび
シャツの肩でぬぐってるような気分になるけど
これもきっと一期一会だとありがたがって
悪態がもれないように
ほおぶくろをふくらませたまま
見えない空き缶を蹴っ飛ばすキックで
ぐっとこらえるんだ
どんな出逢いでも
それをくれた偶然に感謝しなきゃなんて
殊勝で馬鹿げたこと言うつもりはないよ
これがほんとに一期一会だったのなら
こいつに逢うのはもうこれきりで
しばらくがまんすれば あとは
平行線と すれ違いと ねじれと 時間差のおかげで
まこりまちがって交わることはあっても
まさか鉢合わせることまではないだろう
そう信じて
ののしりをあげたがる舌べろを
前歯ではさんで おさえこんでるんだ
だからどうか これきりの一期一会でおいてくれ
悪戯な再会のあと
二度あることは三度あって
ついには腐れ縁をこじらすのは
絶っ対にやめてほしい
綺麗すっぱり みごとな切断面で
はさみをいれてくれないか
そしたらぼくは この出逢いが
一期一会であることをありがたく思える
また逢いたいひとより、もう逢いたくないひとのほうが多いかも!