第二王女様はおてんばです
「王女様ー!」
「どこにおられるのですかー!」
「王女様の好きな料理を用意してございますよー!」
そんな声が城中から聞こえてくる。
なぜなら今探されている私、第二王女であるアイス・プリンセチアは自室の窓から紐を垂らし、この城を抜け出そうとしている。
高さはこの国を全て見渡せるほど。
何せこの城の最上階にあるのだ。
「ここにいましたか……」
そんな声が聞こえたのでびっくりして上を見る。
そこにはこの国の兵士たちをまとめあげる団長、バルゴがいた。
「見逃して!」
「なりません」
彼は少々は呆れた様子を見せながら私を引っ張りあげた。
「あと少しだったのに……」
私はこの抵抗してもこの男には勝てないと知っている。
普通の兵士なら……。
そんな事を考えているうちに降りるために使っていたロープで拘束され、王である父、ボタン・プリンセチアのいる玉座へと連行された。
金の装飾がしてあり、赤いふかふかの椅子に腰かけている父が呆れたように言葉をこぼす。
「その服装を見るにまた冒険者ギルドへか……」
私は何も言わない。
こうして何度も同じ場面を経験すると、この後の展開も予想できるのだ。
「いつものように」
王が端のメイド服を着た使用人に声をかけると、私を持って部屋の外へ連れ出された。
部屋の外へ連れ出された私は服を一瞬で着替えさせられ、自室に監禁されている。
自室には巨大なカーテンつきのベット、大きすぎる鏡が立てかけられていて後はドレスなどの服が入ったクローゼットがあるだけ。
今さっき脱出しようとした窓はいつの間にか外側から木で開かないように固定されている。
私は鏡の前まで行き、自分を見た。
「やっぱり、これじゃない」
今私は薄いピンク色でフリフリのドレスに身をまとっている。
でもやはり、これがなりたい私では無い。
確かに生まれてからずっと何不自由なく暮らすことができている。
それでも私はたくさんの人に囲まれてちやほやされのんびり生きるよりも、外に出て自由に冒険したい。
そうしてまたここから脱出できる道を探そうと決心すると扉が開かれ、
「王女様、昼食の時間でございます」
また同じようにロープで巻かれ、連行された。
昼食の席には父、私、姉がついている。
ご飯はいつものように豪華なものだった。
それを食べながらだと叱られてしまうので、ゆっくりとみんなに合わせながら食べた。
「私はもう一度冒険者ギルドに行きたい!」
皆が昼食を取り終えたのを見て勢いよく言った。
その言葉に父は呆れ、姉は笑っている。
私は一度母に連れられて冒険者ギルドに行ったことがある。
何せ母はこの国の王女でありながら最強の冒険者だった。
「私はもう16歳なの! 少しくらい自由に動かせて」
「いやそれでお前の身に何かあれば……」
相変わらず姉は笑っている。
何がそんなに面白いのだろうか。
そんな姉は置いておいて、この部屋のドアの前には団長バルゴがいる。
私が逃げ出すことを防ぐためだろう。
「いいじゃないですか、お父様。一度くらい護衛をつけて行かせてみれば」
「しかし……」
「そんないつまでもうじうじ言ってたらなんにもなりませんわ」
姉が珍しく強い口調で父に言った。
護衛つきのというのがあれだか、外に出られるのならいい。
それにしても姉がこちら側の味方をしてくれるとは、この城で唯一の味方だ。
「ではバルゴ、この子の護衛を任せたわ」
「ええっ! バルゴが!」
「当たり前じゃない。そう出ないとあなた逃げ出してしまうじゃない」
私は護衛を倒して自由に行動しようと思っていた。
それでもこの城に戻ってこないわけではない。
ここは家だ。16年も暮らした。
それを簡単に捨てるのは難しい。
「家出する訳じゃないよ?」
「当たり前です。もしそうでも彼なら止められますし。何か危険があれば守ってくれます」
不満はある。
それでも城の外に出られるだけマシかと思だ。
そういうわけで話は進み、バルゴという護衛をつけての外出が許された。
翌日。
外出は私が思っていたものとは違った。
護衛はバルゴだけと言っていたはずだが、後ろから何人もの兵士が隠れてついてきている。
何故か通る道に人も見られない。
「冒険者ギルドには?」
「いえ、そのようなところには行きません」
「は?」
「は? ではございません。冒険者ギルドへはアイス様が行きたいと仰っただけで、先日の話し合いの中ではそのような話は出てきておりません」
服だって無理やりドレスを着せられるし。
「帰ろう」
「良いのですか?」
「いいよ」
そう言い特になにかすることもなく城へと帰って行った。
「やっぱり、抜け出すしかないな」
やはり抜け出すしかない。
そう考えまず服を着替える。
ドレスから動きやすいように青色の薄い服とズボンに変える。
そしてなにかあった時のために鉄の胸当て、篭手などの装備もしておく。
長い髪は銀の髪留めでまとめる。
この国の王族特有である白髪を隠すために青いローブで身を包む。
「よし。窓はあれだな。壁を破壊しよう」
そう決め、今は亡き母から受け継いだ氷の魔法で壁を壊そうとする。
「アイスエッジ!」
壁に穴は空いたがまだ人が通れるほどのものではない。
よし蹴破ろう。
助走距離を確保し壁に向かって走る。
そして壁を蹴ると、ものすごい音を立てて向こう側に石レンガを飛ばした。
見ると下の方にいた兵士や庭師がこちらを見て、
「えーーーー!!」
と、一斉に声を上げいる。
まるで目玉が飛び出るくらい驚いている。
するとこの音を聞きつけたのか、この部屋の近くにいた兵士が入ってきた。
それ以外にもここに近ずいてくる音が多くある。
私はこちらに向かって来る兵士の顔面を殴り気絶させ、腰にかけてあった剣を奪い取る。
「よし、準備は整った」
私は蹴破った壁から飛び出し別の屋根に飛びうつった。
身体能力は高い方だ。恐らくこれも母のおかげだ。
屋根を伝って地面のある所まで飛び降りると。
近くにいた兵士たちに囲まれた。
「やめてください。王女様!」
そんな言葉を無視して走り出す。
兵士たちは取り抑えようとしてくるが問題ない。
私はそれを踏み台にして加速した。
大きな門があったがそれも飛び越えもうしばらく走る。
「よし人混みに紛れる」
勝ちを確信し後ろを振り向くとそこには父の姿があった。
それを見て私は手を振り、
「夕方までには帰ってくるからー」
そうして人混みの中に紛れ、城から逃亡することに成功した。




