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口語詩Ⅰ 勿忘草
ふるさとの勿忘草を想う歌
花の君に問う
花の君に問う
君はまだ 香っているか
君はまだ 笑っているか
花の君に問う
花の君に問う
君はまだ ちいさく在るか
君はまだ 伸びやかに在るか
花の君に恋う
花の君に恋う
立ち馴れた あのささやきを
立ち馴れた あのぬくもりを
を
花の君に問う
花の君に問う
君はいま 春めいているか
君はいま 露めいているか
花の君に問う
花の君に問う
君はもう 散らして止んだか
君はもう 摘まれて止んだか
君はもう摘まれてしまったのか
私は知らない
私は知らない
君はいま どの風に立つ
君はいま どの山に寝る
私は知らない
花など知らない
花など
花の君に恋う
花の君に恋う
つゆけき君の 哀しさよ
別れし君の 悲しさよ
請う 花の君
忘れるな
請う 花の君
私の愛を
風は吹かねど かをれ八千代に