表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/97

思いも寄らぬ遭遇

 騎士達の静止を振り切り、一人の男が広場へやってくるのが見える。

「チッ…ルカ逃げろ!」

 コーエンが舌打ちを鳴らし、慌てた様子でルカを促しその場から離れるが、身動き一つ出来ない。

 まだ距離は離れているものの、その姿を目視した瞬間、金縛りにあったかのようだ。

「…ルカ!?」

 不安気なユノの言葉ですら頭に入ってこない。

 銀髪銀目の、母によく似た顔立ちをした青年が広場へ入ってきた。





 青年はルカを目に留めると、同じように目を瞠ったまま固まる。

 二人の間で時間が止まったかのよう。

 しばらく動けないでいた銀髪銀目の男は、瞬きもせずルカを見つめたまま、ゆっくりと一歩ずつ近づいて来る。

 周りの目も気にせず、ただルカだけを見つめて。

 絹糸の様な艶やかな銀髪、切長の目と銀色の瞳に、右目の下にホクロ。

 そして優美な形の薄い唇。

 母よりも、自分に似た青年の顔が目の前に迫り、緩やかにルカの頬へと手を伸ばす。

 冷たい指先が触れるとルカは慄いた。

 頬を撫でた指先が唇をなぞる。

 ルカの心臓が跳ねるのと同時に、ビクッと身体も震えた。

 唇をなぞっていた指先は再び頬を撫で、戦闘中でも外れなかった髪を隠すためのウィンプルへ手が……。

 まずい、振り払わなければ。

 頭ではそう思っているのに、身体は動いてはくれないし、呼吸の仕方も忘れていたその時。

「グェッ!!グェエエエエッ!!」

 激しい突風と怪物の慟哭。

 ルカは一瞬で我に返ると、ユノを抱き上げ飛び退った。

「ルカ!!」

 空を見上げるユノの目線を追う。

「まだ残りがいたか…!」

 怪物は上空を旋回していた。

 先程相対した三体よりも、一回り身体が大きい。

 コーエンとカーティスは噴水広場からはすでに離れており、あのタレ目の女はいつの間にか姿を消していた。

 銀髪銀目の青年は、怪物など視界に入ってないかのようにルカだけを見ている。

「…ユノ。コーエンの元へ行くんだ」

「でも」

「大丈夫。あいつを倒してから、必ず合流する」

 ユノを安心させる為に、微笑んで彼の背を押す。

「…約束だからね」

 少しだけ二人で見つめ合ったあと、ユノはコーエンの元へ駆ける。

 その後ろ姿を見送り、再び怪物へ目を向けると、直滑降でルカへ攻撃を仕掛けてくる所だった。

散々同じ攻撃を受けているのだ。

 そんな単調な動きなど簡単にかわせるはずが、大量に出血したせいで身体は重い。

 何とか身を交わすが、二撃目が早かった。

「危ない!」

 銀髪銀目の青年がルカを庇い怪物の前へ躍り出る。

(何てことを!!)

 ルカを守ろうと立ち塞がる青年を突き飛ばし、黒剣を振りかぶるが間に合わない。

 物凄いスピードで滑空してきた怪物の鉤爪が、剣を振り上げた右腕に食い込み、そのままルカは空中へ連れていかれた。

 片腕が軋むくらいきつく鉤爪が突き刺さり、宙吊りになる。

「ルカぁあああ!!」

 ユノの激しい叫び声が響き渡った。

 怪物はルカを宙吊りにしたまま、突き刺そうと長い尾を繰り出すが、その尻尾を空いてる左手で掴む。

「グェッ!!」

 ルカを振り落とそうと、怪物はめちゃくちゃに旋回し続けるが、尾を掴んだまま離さない。


「ルカ…ルカぁあああ!!」

 ユノの叫び声がこだまする中、ルカはそのまま怪物と共に虚空へ消えてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ