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朝の日差し

目が覚めると、明るい陽射しが部屋に差し込んでいた。

質の良い寝台とシーツで、睡眠はしっかりと取れている。

上半身を起こし寝台を見ると、ルカに縋り付く様にして眠る少女。

昨夜、共にオッペンハイマーの屋敷に戻ってから、ルカの側から離れなかった。

二人で湯を使う時だけは必死に抵抗し、一人で汚れを落としていたが、夜食を食べる時も寝台へ入る時もルカにくっついていた。

"ぐっすり寝てるー!"

"ルカの事大好きだねー!"

"可愛いー!"

いつもの子供達の声。

日常に戻った感覚だ。

とは言ってもルカの日常は、ソワソンに来るまでは怪物との戦いに明け暮れていたのだが。

まさか、この穏やかに見える街で人間を殺める事を決意するとは想像だにしていなかった。

組織の連中を斬っていく最中、努めて冷静に、そして平然を維持するのは大変な労力を必要とした。

何の大義名分も無い。

子供達を救い出す為だと、自分を言い聞かせただけだ。

そんなのは欺瞞であり、自分勝手な思考である。

人を殺して良い理由になどなるものか。

命を絶った相手にも家族はいるだろう。

いつでも仕返される覚悟を持って、それでも後悔だけはしてはいけない。

そうでもなければ精神が崩壊してしまう。

"ルカ元気出してー!"

"この子の寝顔可愛いよー!"

自己嫌悪に陥っているルカを慰めようと、声達が語りかけてくれた。

(…そうだな)

長い髪が少女の横顔に落ちていた。

彼女を起こしてしまわないようにそっと耳にかける。

そういえば、この子の名を知らない。

残る用事を済ませたら、また旅に出る予定だ。

だが、何かしらの力を持っている可能性のあるこの子を、この土地に置き去りにしても良いのだろうか。

あの時の目撃者は私とコーエンと娼館のオーナーだけ。

コーエンは何も言ってこなかったが、立っていた位置的に、何かしら勘付いている可能性が高い。

置いて行くリスクもあるが、連れて行って例の怪物達が襲ってきた時に守り切れるか自信がなかった。

どうしたものかと悩んでいると、少女が身じろぎをしてムクリと起き上がる。

瞼を擦りながらルカを見つめた。

「おはよう」

ボーッとした表情と、寝癖でボサッとした髪。

ルカは思わず目元が緩む。

手櫛である程度髪を整えてやり、寝台から降りた。

「昼食を貰いに行こうか」

少女はまだ眠たそうだが、頷いて寝台から飛び降りる。

寝衣のままで、昨夜と同じようにルカの服を掴んだ。

「…まずは着替えだ」

困ったような嬉しいような、何とも言えない表情でルカは少女の頭を撫でた。

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