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血染めの宴

しっかりフードを被り気配を消して、貧民街を早足で進む。

ソワソンとは思えない、崩れかけた家々が立ち並び、辺りには浮浪者が座り込んでいた。

一軒の少し大きめな荒屋で止まり、扉を叩く。

「…誰だ?」

ほんの少し扉が開き、中から目つきの悪い男が睨み付ける。

「ボスから差し入れをお持ちしました」

フードを外し、片手に持つ酒瓶を掲げる。

顔が見えるように扉の隙間から見える男へ微笑みかけた。

「ボスから?…!!ま、まあ入れ」

顔を見て一瞬の動揺の後に、ルカを招き入れた。


室内に入り、奥の一室に進むとゴロツキが6人。

扉を開けた男を入れるとこの場には計7人。

残りは地下に居るのだろう。

「待機中で、暇を持て余してるだろうからもてなして来い、との言付けです」

持っていた酒瓶を二本、食卓へ置く。

突然現れた美しい女に、酒を飲みながらだらけていた男達は目が釘付けになっていた。

「…こりゃたまらねぇな」

「ボスの女か!?」

「こんな所に女寄越すなんてボスも鬼畜だなぁ!」

「これクソ高え酒だぞ!」

ルカと差し入れの酒を見て一斉に男達は下品な笑いと興奮の声をあげる。

そんな男達に笑顔を向けながら、一人一人にお酌をしていく。

「嬢ちゃんも飲めやぁ!」

「夜は長いからなぁ、へへっ」

グラスを持たされ、酒を注がれる。

「ありがとうございます」

男達はルカを舐め回すように見つめながら杯を空けていく。

「で、嬢ちゃんはボスの何なんだ?」

「おい、知っちまったら手ぇ出しづれえだろ!」

「構いやしねぇだろ!もてなして来いって言われてんだから」

突然やってきた女をどうするかで男達は大盛り上がりだ。

気持ちの悪い会話を聞き流し、ルカも杯を空ける。

「皆さん、ボスとは長いのですか?」

男達へ問いかけた。

「嬢ちゃん顔も喋り方もキレイだな!」

「先代からの付き合いのやつらがほとんどじゃねぇか?」

「この酒うめぇな!」

上機嫌な男達。

すると、室内が騒がしかったからか扉を開けて更に3人やってきた。

「何騒いでんだ?」

「…何だこの美人ちゃんは」

「おい俺らも混ぜろや!」

狭い室内が更にぎゅうぎゅう詰めになる。

ルカを取り合って喧嘩でも勃発しそうな頃、一人が急にえづいた。

「ゲホッ…ぐっ…」

口から大量の血を吐いて、食卓へ突っ伏す。

「…お、おい!どうし…グェッ!…ォエ!」

「グッ…グァッ!…」

次々と血反吐を吐いて、床や食卓へ突っ伏す男達。

「なっ何だ!?」

「どうなってやがる…」

後から来た3人は飲んでいない。

酒には即効性の毒薬を混ぜてある。

ルカは事前に解毒薬を服用していた。

解毒薬の有無に関わらず、今の驚異的な回復力ならば、ルカに効き目があるのかどうかは分からないが。

男の背後へ回り、隠し持っていた短剣で一人の喉を掻っ切る。

「…!!」

悲鳴をあげる間もなく、血飛沫を撒き散らし絶命した。

「…ひっ!」

「血!?」

今だに何が起こっているのか分かっていないのであろう。

一人は棒立ちになり、一人は逃げ出そうとするが脚がもつれ前のめりに倒れ込む。

突っ立ったままの男の腹へ蹴りを入れ、倒れ込んだ所へ直ぐ様短剣を突き立てる。

ゴフッと血を吐き出し事切れたのを確認し、倒れ込んだままの男へ向き直る。

「ひぃいっ!?」

情け無い叫び声をあげ、頭を抱える。

「仲間が先に地獄で待ってくれてる。何も怖い事はない」

震える背中を、心臓目掛けて短剣を突き刺す。

グァッ!と短い悲鳴をあげ、静かになった。

大剣で斬り捨てる時とは違う、皮膚や臓器に達する時の生々しい振動と感触に、吐き気を催す。

狭い室内だ、返り血と匂いも凄い。

今日、ここ数時間だけで既に大量に人を殺していた。

(クソッ…まただ)

血に塗れたルカの手は震えている。

だが、まだまだ人間を手にかけなければならない。

誰かに懇願された訳でもないのに、ただ自分がこのゴロツキ達を生かしておきたくないという理由で。

『あの怪物達とお前の、どちらの方が化け物だろうねぇ』

ルカを嘲笑するあの声が頭に響いた。

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