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初めての反動

(森を抜けて、走っても一時間半はかかるな)

日はまだ落ちていないが、向かっている途中で暮れてしまえば怪物達と遭遇する可能性が高くなる。

そうなると残りの拠点を叩く時間が無くなってしまう。

ここが壊滅した事が知れ渡ってしまう前に、何とか決着を付けなければならない。

命令も使ってしまった為、若干身体も重い。

ふと、また指先が震えているのに気が付いた。

人間を斬ったのは初めてだった。

極力、返り血を浴びないように駆け回って斬り捨ててはいたが、自身から血生臭さが立ち昇っている気さえする。

吐き気が込み上げ、少しだけ嘔吐した。

口を拭い、心を落ち着かせる。

本当は誰一人生かすつもりはなかった。

だが、あの二人は子供達を移動させる際、フラつく子は支えて歩き、途中歩けない子は背負っていた。

あれ程若い子でもこんな胸糞悪い仕事に就くしかないならば、この国は相当疲弊しているのではないか。

思考を巡らしながら森の入り口に到着すると、そこにはカーティスがいた。

「カーティス…」

何故ここにいる、と問いかける前に、答えが返ってきた。

「足が必要でしょう?」

カーティスの手には馬の手綱が引かれていた。

「…その為に馬車は三頭立てだったのか」

「様々なパターンを考慮するのは、私の得意分野でして」

馬の頭を優しく撫でながら薄く笑んだ。

どうやら、ルカが一人残る可能性を考えて、幌馬車の馬を一頭多くしていたらしい。

本当に、聡い男だ。

「…すまない」

山小屋の側にある馬小屋に繋がれていた馬達は、火の粉がかからないように逃がしてしまっていた。

「無事、お戻りになられて安心しました」

カーティスは安堵の吐息を吐く。

「まだ後二つ残っている。さっさと終わらせよう」

一瞬目を見開いたものの、彼はしっかりと頷いた。

「…ありがとうございます。行きましょう」

ルカの手を引き、馬の脇腹へ引き寄せ、

「どうぞ、お乗り下さい」

手綱を寄越してくる。

「…実は…乗り慣れていなんだ」

少し恥じ入ったように手をモジモジさせた。

その照れ臭そうな仕草に、カーティスは驚いたようだが、すぐに口を覆って小さく笑い出す。

「…カーティス」

ルカはジロリと視線を向ける。

「…すみません…ふふっ……では、お任せ下さい」

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