終結を託す
「…で、とりあえず俺たちはここで待機か」
「ああ。子供達を馬車まで連れて行くのを手伝ってくれ。二人いればいい。その後は爆薬を設置して、退去時に証拠を隠滅する」
洞窟の側に立つ、二階建ての山小屋。
そこには既にやる事のないゴロツキ共がたむろっていた。
昼間から酒盛りをしていたらしい男が数人、酔い潰れて寝っ転がっている。
「ケルビン!フーゴ!お前ら行ってこい!」
「え〜!俺今着いたばっかっすよ〜」
「オレもー!」
この拠点で一番若いだろう二人が指名される。
「お前ら入ったばっかの新人だろ!殴られてぇのか!」
管理人の男が語気を荒げる。
「分かりましたよ〜」
「へいへーい」
渋々、立ち上がった。
「では、子供達を移動させた後に、彼らへ爆薬を持たせてこちらへ向かわせます。大型の爆薬は洞窟。小型はこの小屋へ設置を」
「えぇ〜!荷物持ちまでさせられんのかよ〜!」
「特別手当はー?」
「うるせぇ!黙って従え!」
管理人に叱られた二人は、ため息を漏らしつつカーティスの後についていく。
洞窟の中へ入っていくと、酷い悪臭が立ち込めていた。
彼自身拠点へ赴く事はあっても、せいぜい待機所止まり。
想像以上の劣悪な環境に、後悔が頭を過ぎる。
どうにかしてこの事業を終わらせようと苦心してきたものの、結果何も出来ていない。
せいぜい、規模を少し縮小した程度だ。
自身が元々オッペンハイマー家に売られてきたのもあって、どこか当たり前にある業種なのだと諦めていたのかもしれない。
鉄格子の牢屋は三つあった。
それぞれの牢屋に7、8人ずつ詰め込まれた子供達。
どの子も痩せ細り、床は汚物に塗れ、ぐったりとしている。
鉄格子越しに覗くと、暴力を振るわれるのかと思った様子で、子供達が怯えてしまった。
「…酷いな」
「ここ入るの初めてっすか〜?」
「こんなもんっすよー」
そう言って、ケルビンとフーゴは連れ出す為の手錠と鎖を用意する。
「手錠足りないな〜」
「足りなきゃ縄でいいだろー」
十分な設備管理費は計上されていたはずだが…この調子ではほとんどが酒代に消えていたのかもしれない。
鉄格子が開け放たれ、ケルビンとフーゴが子供達を繋いでいく。
自分に出来るのは弱った少年少女達を安全な場所まで移動させる事だけ。
残りの後始末を全て、少女一人に託す事になろうとは思いもよらなかった。




