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平穏

ソワソンの街に滞在してニ日目。

危惧していた怪物の襲来も無く、ルカは初めての充分な休息をとっていた。

一日目の夜は、同室のマリアに気付かれないよう、窓側の寝台で息を潜め襲撃に備えていた。

朝日が登り始めた頃にようやく緊張も解け、安堵で昼前まで眠ってしまった。

(やはりあいつらは匂いを辿ってきているのだろうか。これだけ人も多ければ紛れてしまえるのかもしれない)

ソワソンの街は夜通し明るい。

灯りの絶えることの無い街中には、怪物達も容易に近づけないだろう。

そう頭の中で思考しながら、穴の空いた外套の補修のために針を進める。

昨日のうちに洗った服は乾ききっており、連日続いた死闘を物語るボロボロ具合だった。

元々、ルカの身体に合うサイズでは無かった為、新しく旅の服を買い足すか悩んでいると、扉を叩く音が響いた。

「ルカ、起きてたんだね」

マリアが扉から顔を覗かせる。

「すみません、随分眠ってしまったようで」

「いいんだよ!それくらい寝ないと回復しやしないからね!」

恰幅のいい身体を室内に滑り込ませ豪快に笑う。

「元気になったんなら少し街に出ないかい?買い物に付き合って欲しいんだ」

ルカに荷物持ちを頼みたいらしい。

「分かりました」

ちょうど外套の修繕も終わった所だったので、手早く荷物を纏める。

「あんた、その物騒なもんも持っていくのかい?」

腰に下げた鞘に入った長剣を見てマリアは呆れた顔をする。

「…お守りみたいなもので…。持ってないと落ち着かないんです」

実際、パヴァリア村の鍛冶屋で見つけたこの剣にはだいぶ助けられていた。

使い込んでいる為、刃こぼれも起こしている。

出来ればソワソン滞在中に、街の鍛冶屋で研ぎ直しておきたかった。

「女の一人旅だったしねぇ。まあいいや、行こうかね!」

長剣が目立たぬよう、直し立ての外套を羽織る

扉を潜り、宿屋を出た。

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