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第十幕より、舞台装置

 青く澄んだ空に風はなく、太陽が優しく人々を見守る、穏やかな冬晴れの日。


 王都のあちこちに露店が建ち並び、軒先の氷柱(つらら)や石畳の霜が陽光を浴びてきらきら輝いた。音と香りで道行く人の胃袋に訴えかける店もあれば、刺繍の入ったハンカチや色とりどりの組紐を売る店もある。恋人や、家族や、親しい仲間と連れだって街を歩く者たちも、一人行く者も、みな麗らかな陽気を楽しんでいるようだ。王家と三大公爵家以外の、ほぼ全国民が一つ歳を重ねる冬至祭は、家族で晩餐を共にしプレゼントを贈りあう、王国に幸福が満ちる日でもある。


 広場では炊き出しの準備が着々と進み、煉瓦を積んだ急拵えの竃にかけられた大鍋から盛んに立ち上る湯気は見るだけでも暖かそうで、街ゆく人々の足を止めさせた。


 今年は食事の振る舞いとは別に、教会への献金を促すチャリティーイベントとして焼き菓子も広場で作る手筈になっている。レディ・コニーの目的がヘリオスの予想通りならば、モリソン老を衆目の集まる場に引っ張りだす好機を逃さないだろう。広場なら警備の目が行き届くため、万が一に荒事があっても人々を安全に誘導できるだろう。そうした思惑を丸っと隠してヘリオスが提案したところ、殊の外、教会関係者からの評判が高い。


「舞台は整えた。後は好きに踊るがいい」


 ヘリオスは王都を見下ろすバルコニーを後にした。


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