評価の補足と感想について&掲示板を見に行こう!
『ところで酢ライムさま、先ほどのお店にはどんな評価をされたんですか?』
「え? それは……内緒です」
『……なるほど、☆5個で満点の10ポイントですか。可愛かったですものね、ネコ耳メイドさん』
「うわあっ!? なんで知っているんです? まさか、ねこ先輩は読心のスキル持ち?」
『まさか! この世界では、一部を除いて他のユーザーの情報を見ることが出来るのですよ。プライバシーなどありません。だから、もちろん酢ライムさまも私がどんな作品にどんな評価をしたかを見ることが出来るのです。ブックマークも同様ですね』
「え……ほ、本当だ!! じゃあ俺がどんな作品に興味を持っていて、そんな評価をしたのかバレバレってことなんですね。もしかして、あのネコ耳メイドさんにも?」
「いいえ、誰が評価やブックマークを入れてくれたかについて、基本的にお店側が知ることは出来ないですね。ですが、感想などを残した場合、そこからお店側がチェックすることは可能ですけどね」
「じゃあ、すごく美味しかったです!! 絶対また来ますね!! とか感想を残したのに、評価やブックマークを入れていなかったら、お店側は微妙な気分になるでしょうね……」
『ふふっ、そういうこともあるかもしれませんが、評価やブックマークの代わりに感想を書く人もいますし、評価入れ忘れや入れたと思い込んでいる場合もよくあります。ブックマークに関しては、他にもお店に辿り着く方法はありますからね。必要もないのにわざわざ感想を残してくれたことを素直に喜べば良いと思いますよ』
「そんなものですかね……?」
『ええ。ちなみに、この世界には約90万店舗(作品)ありますが、感想がない店舗は、約58万店舗もあります。もちろん感想を受け付けない設定をしているお店も結構ありますけど、それだけ感想も貴重なのですよ』
「げっ!? 半分どころか、6割以上の店は感想すらもらえないんですね……なるほど、そう考えたら、感想だけでもめちゃくちゃ嬉しいですね!」
『評価やブックマークは一瞬で終わりますけど、感想はそうはいきませんからね。一生懸命文章を考えて、気持ちや想いを伝えてくれるんです。たとえ一言でも、ハードルは高いのですよ。私も最初のころは、感想を何度も書き直して結局消してしまったり、一言だけになってしまったりしましたよ』
「その高いハードルを越えてでも伝えたいと思ってくれたってことですもんね!」
『はい、ですから感想が一番嬉しいというユーザーさまも多いのですよ』
******
「ところでねこ先輩、これから何処へ行くんですか?」
『大通りの掲示板エリアですよ』
「掲示板って、新しいメニュー(小説)を出したら貼り出されるところですよね?」
『はい、これから活動を始める酢ライムさまにとっては、お客さまを呼ぶための大切な場所になりますから、どんなところなのか、しっかりと確認してくださいね』
「はい、楽しみです!」
掲示板が並ぶ大通りにやってきました。
「あれ? めちゃくちゃ人がたくさん居るじゃないですか! ねこ先輩がほとんどの人は掲示板を見ないなんて言うから、もっとガラガラなのかと思いましたよ」
『仮にもこの世界の中心の大通りですからね。掲示板を見るかどうかは別にして、人通りだけはとにかく多いのです』
「ほえ~、何だかたくさん掲示板があるのですね……って掲示板異常にデカくないですか?」
大通りに並んでいる掲示板は高さ10メートル以上もある。さすがは日本最大級。え? その最大違う?
『手前から、ランキング掲示板、閉店セール(完結済み連載小説)掲示板、コース料理新メニュー追加のお知らせ(更新された連載小説)掲示板、単品・軽食新メニューのお知らせ(新着の短編小説)掲示板、殿堂入り(書籍化)掲示板ですね。酢ライムさまに関係あるのは、とりあえずコース料理新メニュー追加のお知らせ(更新された連載小説)掲示板ですから、そちらを見に行きましょうか』
掲示板の前にやってきました。すごい人混みです、迷子にならないように手を繋ぎましょうか? 大丈夫? ふふふ、別に恥ずかしがらなくても良いのに。
巨大な掲示板に、10枚の羊皮紙が貼りだされており、店舗名(作品タイトル)とオーナー名(作者名)料理の種類が書かれています。
「おおお……これがその掲示板なんですね。たしかに10枚しか貼るスペースがない……」
『ぼーっとしている暇はないですよ? 大体数分毎に貼り替えられてしまいますからね。急いで10件全部に目を通してください』
「わ、わかりました~!!」
Illustrated by 糸さま