検索の重要性を知ろう
意外と見逃しがちなのが検索システムです。
キーワードを入れていない書き手さまが多く見受けられるので、いつももったいないなあと思っているのです。
Illustrated by みこと。さま
『ところで酢ライムさま、お客さまは、どうやって貴方の山奥のお店(小説)を見つけると思います?』
「え? それは……掲示板とランキング……ですよね?」
ええ、たしかにそうですね。ですが、それだけではないのです。
『そうですね。ですが、それ以外にも大きな柱がありますので、これから見に行きましょうか』
「はい、お願いします」
やってきたのは、王都の中心部。
巨大な茶色いレンガ造りの大聖堂が、私たちの眼前にそびえ立っている。
「ねこ先輩、ここは?」
『ここが美味しいものを食べよう(小説を読もう)検索教会です。この世界に存在するお店を調べて教えてくれるところですよ。観光案内所も兼ねているのです』
「そんな親切な場所があるんですね!」
『利用料は何度でも無料、食べたいものが決まっている場合は、ランキングよりも効率的に、しかもピンポイントで探せるんですよ』
「そうか、たしかに今日はからあげ(ラブコメ)が食べたいって思っているのに、わざわざ全部のメニューから探す必要ないですもんね。じゃあ、ここで俺の店を探して来てくれる人がいるかもしれないってことですね?」
『そういうことです。例えば、さらに絞って、辛味風からあげ(ラブコメ風ホラー)みたいに味の好みなんかも簡単に探せますよ。それじゃあ入ってみましょうか』
Illustrated by 空野奏多さま
「いらっしゃいませ。ようこそ検索教会へ」
教会内部には、無数のカウンターがあり、未亡人美女風シスターゴーレムが、24時間365日、にこやかに対応してくれる。
「は、はい、よろしくお願いします!!」
ふーん、酢ライムさまはこういう感じもお好きなのですね。鼻の下伸びてますよ。鼻ないですけど。
デレデレしてピンク色に変色している酢ライムさまを味見する。
ふむ……コンニャク梅風味……? にゃかにゃか悪くない味ですね。にゃふふ。
「あ、あれ? カウンターに届かなくなった!?」
『届かないなら、伸びれば良いじゃない』
私はさらに小さくなった酢ライムさまへ某アントワネット風のアドバイスを贈ります。
Illustrated by みこと。さま
「ね、ねこ先輩、それで、何を調べてもらうんですか?」
小さくなった身体を細長く伸ばして背伸びしているお可愛い酢ライムさま。そろそろ自重しないと無くなってしまいますね……チッ。
『お店を出すのであれば、教会(検索)の利用方法を知っておくことは重要です。利用者がどんな形で調べるのか知っていれば、対策もたてられますからね。まずは、酢ライムさまの作品について下調べしますよ。まずは高校生で連載小説、検索お願いします』
――カタカタカタッ!!――
「……44,442件ですね」
凄まじいスピードでキーを打ち込み、にこやかに検索結果を教えてくれる未亡人風ゴーレムさん。
『何らかの形で高校生を連載形式で扱っているお店が約4万5千件あるということですね』
「……おおっ、すごい、一瞬で、しかもめちゃくちゃ多いですね……」
『これでは範囲が広すぎますので、キーワードを追加します。次は高校生とスライムでお願いします』
――カタカタカタッ!!――
「……112件ですね」
凄まじいスピードでキーを打ち込み、やはりにこやかに検索結果を教えてくれる未亡人風ゴーレムさん。だいぶ減りましたね。
『さらにジャンルで絞り込みます。えっと麺類で良いんですよね? 日本の高校が舞台だから、蕎麦でお願いします』
――カタカタカタッ!!――
「……10件ですね」
凄まじいスピードでキーを打ち込み、やはりにこやかに検索結果を教えてくれる未亡人風ゴーレムさん。うん、思ったよりも少ないですね。
『というわけで、高校生、スライム、蕎麦まで範囲を絞ると現在10件しかお店がないということがわかりました』
「おおっ、意外とライバル少ないからもしかして穴場みつけちゃった?」
『うーん、少ないというのは需要が無い、人気がない可能性もあるので、どちらとも言えないですね』
「うっ!? 誰も食べたくない料理ってこと……? でも、こんなにピンポイントに探してくれる人なんて本当にいるんですかね……」
『ふふっ、一つだけ覚えておいてもらいたいのは、ここでは、全ジャンル・全店舗の新着20件が掲示板に貼りだされるのです』
教会内にある巨大な掲示板には、20件の羊皮紙が貼りだされており、多くの利用者たちの目に入るようになっている。
「おおっ!! ここでも見てもらえる可能性があるんですね!!」
『さらに言えば、料理名検索してもらったときの結果も、すべて新着順がデフォルトなのです。だから新メニュー追加(更新)頻度が高いほど、お客様(読者)の目にとまりやすいのですよ』
「そうか……同じような店が何万店舗あっても、メニュー追加(更新)しまくっていれば、常に検索結果上位に掲示されやすいってことですね!!」
『はい、利用者が範囲を絞り込んだ場合には、その確率が跳ねあがりますからね』
Illustrated by 糸さま
「……ねこ先輩!? タイトルがおかしくないですか!? 何のことですか、俺の味って!!」
『さあ? 気のせいですよ。文句があるならみこと。さまに言って下さいね(おい)にゃふふ』