短編小説と書籍化
Illustrated by みこと。さま
単品料理・軽食新メニューのお知らせ(新着の短編小説)掲示板にやってきました。
「ねこ先輩、単品料理・軽食(短編小説)って何ですか?」
『この世界では、コース料理(連載)ではない、単品料理&軽食(一話完結)を提供するお店のことですね。7000キロカロリー(70000文字以下)までの単品料理(小説)が該当します』
「7000キロカロリー(70000文字以下)までって、そんな重いの食べる人いるんですか!?」
この世界の最高は20000キロカロリー(20万字)超えてますけどね。法が改正された今は無理ですけれど。食べるかどうかは……いや、中にはもしかしたら? ふふふ。
『あくまで可能なだけで、普通はそんな料理提供しませんけどね。大体50〜700キロカロリー(500〜7000字)の料理が多いです。最近は貪欲な肉食系女子が増えているので、イセコイ界隈では2000キロカロリー超えの料理も人気があったりしますけれど』
「ああ……たしかにザマアリトッツォとか結構胃もたれしそうなぐらい重いのに、人気ありましたもんね」
『ふふっ、もちろん、ヘルシーなコンニャク焼き(婚約破棄)も人気ですから、両極端なところがあるのかもしれません。甘いお菓子(恋愛)以外にも、こだわりの逸品料理(詩)ユーモアあふれる創作料理 (コメディ)シェフのおススメ(エッセイ)などが多い印象ですね』
「でもねこ先輩、俺はコース料理(連載小説)を出すつもりなんで、あまり関係ないですよ?」
まあ、連載長編に憧れるのはわかります。私もいきなり連載長編を投稿しましたし。
『酢ライムさま、この掲示板は、20件まで掲載されるんですよ。だから長く人目に触れる分、食べてもらいやすいのです。しかも手軽に食べれるから、時間が無い時でも、手に取りやすい。移動しながらでも食べられますからね』
「そうか、食べてもらいやすいから、お客様の反応がすぐにわかるんですね。でも、少ない量で満足してもらうのって、何だか難しそうですよね」
『はい、言ってみれば、コース料理の旨味をギュッと一つの料理に凝縮するようなものですからね。まずは挑戦しやすい、シェフのおススメ(エッセイ)から始めてみるのもおすすめですよ』
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最後に、殿堂入り(書報 - 出版作品紹介)掲示板へやってきました。
ここは大きな功績を残し、世界を救った英雄たちの銅像と肖像画が祀られています。
「あっ、知っている作品もたくさんありますね。俺がこの世界に来るきっかけになった作品もあります!!」
『ご存知の通り、この世界では全てが無料。それを支えているのが、私たちのような転生者と大量の観光客(外部読者)の存在です。ここにいる英雄たちのサーガは、吟遊詩人たちによって広く外の世界にまで伝わり、やがて大勢の観光客を呼び寄せることになります。つまり広告塔の役割であり、観光の目玉と言っても良いでしょう。そして私たち転生者もまた、この観光地をより輝かせる縁の下の力持ち。隠れた英雄なのです。酢ライムさまも、まもなく英雄の仲間入りですね』
「たしかに見どころが一つしかない観光地とか残念すぎますもんね。そうか、みんなでこの世界を作り上げているんですね」
『はい、立場、目的、価値観は違えど、皆この世界を構成する仲間です。切磋琢磨するライバルであっても、決して敵ではないのですよ……って、聞いてます?』
「ふふふ、そうか、ここに俺の銅像が立つのか……」
返事が無いと思ったら、銅像を眺めながらそんなことをのたまう酢ライムさまの姿が……。
酢ライムさま、背中がガラ空きですよ? 私は敵ではありませんが、捕食者だということをお忘れなく。
ふふふ、今のうちに食べまくります。どうやら痛覚が無いようなので、ばれる心配はありません。
にゃるほど……妄想に浸っているときはラムネ味のグミ食感……にゃふふ。
Illustrated by みこと。さま
「うん? 何か身体に違和感が……? あれ? ねこ先輩、少し大きくなってません?」
『……気のせいです。それより酢ライムさまは、プロの料理人(商業作家)を目指しているんですか?』
危ない危ない……少々食べ過ぎましたね。私が大きくなったんじゃなくて、貴方が縮んだのですよ。にゃふふ。
「え? だって、やっぱり憧れるじゃないですか!! 自分の作った作品が形になるのは嬉しいですよ」
『まあ目指すのは自由ですし、誰にでもチャンスがあるのがこの世界に醍醐味ですからね!! でも、プロになると、自分の好きな料理ばかり作るわけにはいかないですし、お客様の好みに合わせて作る必要もあります。散々苦労して作り始めた料理を、途中でやっぱり要らないって返品・キャンセル(打ち切り)されることだってあるみたいですよ。余程の覚悟がなければ続けられない厳しい世界です』
「う……そっかぁ……そこまでの覚悟は今の俺にはないかもしれませんね……」
『ふふっ、まだ何も始まってもいませんし、形にするだけなら自費出版や、電子書籍など色々な方法があります。それよりも、今はこの世界のことを知ることが先決ですよ』
「はい、宜しくお願いします、ねこ先輩!!」
Illustrated by 空野奏多さま
Illustrated by 糸さま