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プロローグ
夜になると彼に会える。
自分で作り出した虚像であるが、それでも救われた。
「こんばんは、今日も来てくれたのね」
深々と、他所の国のプリンセスのようにお辞儀する。
「私は相変わらず元気よ。夜だけは寂しくないの」
・・・
返事を予測して、またふたりごとを始める
「夜が明けてしまうのが怖い、
朝なんていらないと思わない??」
・・・
「確かに、朝がなかったら昼が来るだろうし。
そしたら私は昼を恐るのかしら。」
・・・
灰色の影が薄くなり始め、別れを悟った。
「今日もありがとう、また明日の夜に」
・・・
おはよう、悠夏。
鏡に向かって声をかける。
いつもより赤く、腫れぼったい目の私が映る。