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エッセイと 敢えて言い張る 与太話  作者: 戦慄のばしょうかじき
7/10

7・Nightmare〜アタシは、かつて勇者だった〜

 かつてアタシと仲間たちが戦って勝ち取った平和は、ほんの十数年の夢に過ぎなかった。


 新たな悪の蠢動を感じ、アタシはかつての仲間たちを招集する。

 だが、戦士も僧侶も既に家庭を持つ身。

 魔法使いは既に亡く、そしてアタシも、新たな戦いの旅に出るには老いすぎた。


 そのアタシたちに、遂に新たな魔王が目覚め、戦いを告げに来る。

 あと一週間で世界は闇に閉ざされ、魔王が支配する闇の世界へと変貌するという。


 アタシはその一週間で、新たな勇者を育てる事を決意した。

 あてはある。

 こんな事になる以前からアタシは、勇者の素質を身のうちに秘めた少年を庇護していた。


 しかしながら、今の今までアタシは、彼に勇者教育を施すのをためらっていた。


 なんとなれば彼は…


 信じられないくらいアホだったからだ(爆)


 だが仕方ない。

 こうなりゃ世界は彼にかかっている。

 アタシは腹を決めて彼の修行を決行する。

 なんていってもあと一週間しかないのだ。


 勇者ぼんじり(よく判らんがそんな名前だった)はアタシとの修行1日目の晩、家に帰る途中で、魔法使い風の男に挨拶の声をかけた。


 男は何も答えぬまま、勇者ぼんじりに向けて手をかざす。

 次の瞬間、彼は何故かタマゴの殻のようなものに包まれ、陸橋の下へと落とされた。


『ハハハハハ…まだまだだな。

 そんな力では魔王様に到底及ばぬ。

 明日もここで待っているぞ。』

 よく判らん事を言って男は消える。


「痛ってぇ…ちきしょう。

 身体中タマゴの殻だらけじゃん。」

 勇者ぼんじりはそう言って身を起こすと、晩御飯の待つ家へと帰る。

 その身は小さな打ち身の他はかすり傷ひとつ負っていない。

 なんてタフな肉体、さすがは勇者(予定)。

 しかし、つっこむトコ間違ってるぞ(爆)。


 次の日のやはり同じ時間、勇者ぼんじりはやはり昨日と同じ場所で、同じように男に挨拶をして、やはり同じように下へ落とされた。


 そして次の日も。


 勇者ぼんじり。

 懲りない男。

 彼のアタマには、そうならない為には魔法使いに話しかけなければ済むとか、そもそも帰るのにその道を通らなければいいという事項は存在しない。


「…いや違う。

 あのコはアタマが悪いんじゃないのよ。

 ただ単に、どMなだけなのよ。」

 アタシはそう言って、己が心を誤魔化した。


 ところで目が覚めた。




 なんだこのカオス。

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