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その視線は僕の命に届く  作者: 小牧
2/2

入寮

  高校デビューに失敗してはならない!

  念願の同級生練乳白濁まみれを実行に移すには、最初が肝心だ。

  女子達に避けられたら三年間避けられるに決まっている。それは避けなければならない。

  俺はオタクでフィギュア大好きの変態だ。中学時代に女友達はいないに等しい。数人の趣味の合う野郎連中しか友達がいない。

  中学時代の友人達とは高校進学を期にバラバラになってしまっていた。

  …………しゃ…………喋れねえ。

  あれ?俺コミュ障なんじゃね?

  これは困ったぞ…………予想外に使えないヤツだ俺。

  そんな事を思いながら、俺は高校の寮までやって来た。

  最寄り駅から徒歩で40分。そもそも学校と寮が山の上にあるという立地の悪さ。

  なぜこんな高校を選んだかといえば、学科の多さと地元から離れている故に俺を知ってるヤツがいないという条件のよさだった。

寮の入り口で立ち止まる。さて、俺の下駄箱はどこだ?左から中央と右側と、三列ロッカーが並んでいる。

調べようと入り口から入ると、奥にガラス張りの部屋が見える。寮の管理人室かな?玄関を奥まで進み、中を覗く。白髪混じりのおじさんがノートに向かい何かを書いているのが見えた。

靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて管理人室のおじさんに声をかける。

「すみません。今年入学の鈴木相太といいます。一年生の下駄箱はどこでしょうか?」

「ん?ああ、新入生か。早いねぇ、入学式前日に来る子もいるんだよ。一年生は右側、外から見ると一番左のこっちがわだね」

青木と名乗った初老の男は親切で、身ぶり手振りも交えて教えてくれた。

「部屋に案内しよう。着いてきなさい」

「ありがとうございます」

礼を言って寮管の青木さんに続く。

「この廊下の突き当たりが食堂、その手前にある左右の部屋が娯楽室。食堂から右側が女子寮、左側が男子寮、食堂と娯楽室は男女兼用だけど、男子は女子寮に、女子は男子寮に入ってはいけない。破ると退学もあり得るから、そこは守ってね」

「分かりました」

異性の寮には入れないのか、残念だ。しかし、退学は嫌だし、ルールは守るものだ。

食堂から左に曲がり、やや薄暗い廊下を抜けて突き当たりから左右に部屋の入り口が見える。

右側に階段があり、その隣にトイレがあった。

階段を三階まで登り、右側の一番奥の部屋が俺の割り当てらしい。授業に一番遠いじゃないか。道案内してくれた青木さんに礼を言って別れた。

二人一部屋の部屋の中には机とクローゼットしかなく、殺風景だった。

「テレビもパソコンもねえ。持ち込みか?」

思わずぼやく。窓の外を眺める、眼下に広がる夕暮れの町。他には木々がうっそうと茂っており、寮の周りにはお店や民家も見当たらない。

「暇だ…………」










 


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