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たとえ君が気づかなくても  作者: 果物のなし
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雲の妖精Ⅱ

どうも、果物のなしです。


テストが終わり、上機嫌です。ヽ(・∀・)ノ

ボクは口をポカンと開けて、目の前で赤くなった顔を手で隠すメーゼを見つめた。


「好きな子がいるうぅ?!!」

「あぁああ!!そういう反応するから話したくなかったんだよぉおお!!」

「いぃいつから?ねえ、いつから?!」

「うるせえ!結構前からだよぉぉ!」


叫んだりキレたりするわりには、ちゃんと質問に答えてくれるメーゼはやっぱり優しいと心から思った瞬間であった。



***


あのあと、しばらく顔を真っ赤にしてゆっくりだけどその子のことを話してくれた。


どうやらメーゼが好きになったのは、朝の妖精のシャインちゃんと言うらしいのだか、話を聞くと、小さい頃にメーゼが一目惚れをしたらしいのだ。


そして、そのシャインちゃんのことを話すメーゼはとにかく熱かった。


「へぇー。メーゼが一目惚れかぁ、どんな子なの?」

「あぁ?それはもう、こんな目付きの鋭くて体のでかいオレとはちがってあいつはオレからしたらとても愛らしく小さくてオレがこの手でギュウッて抱きしめたら壊れそうなくらい弱くて可愛くて長い耳が嬉しくなるとピョコピョコと動いてそれはそれはもう天使な訳だぜ?普通地球っていう惑星ではオオカミはウサギを食うらしいけどなんとなくわかるきがするしそりゃあんなに可愛いかったら食べちゃいたいとか思」

「一回でいいからさ、一回でいいから息しようか?!」


まさかあのメーゼがここまでベタ惚れするほどなんて、いったいその子は何者なんだろうか・・・

正直大分気になる。


しかし、悩みの原因はどうやらその子に素直な気持ちを伝えることができないらしい。


「オレさぁ、こんな見た目だから寄ってきて声かけてくれる子すらあまりいないのに、つい対面して直接会話すると思ってもないこときつく言っちゃうし、変な伝説(噂)できてるし・・・」



かつて、この月夜の森の入り口を塞いでいた迷惑な妖精がいたのだが、声をかけて注意しようにもゴリラ型の妖精で、見た目がとても怖くて誰も注意することができなかったときがあった。


しかしそこに現れた月の妖精、メーゼが登場し、ゴリラ型妖精と目を会わせただけで、ゴリラ型の妖精を逃がしたことがあったのだ。


その時のことがたくさんの妖精たちの耳に入り、メーゼは『月夜の森の用心棒』という伝説ができたのだけど、どうやらそれは誤解らしく、メーゼいはくその時は


~月夜の森入り口にて~


「ねえねえ、誰か注意しないの?」

「無理だよぁ。あんなに大きくて怖い妖精・・・」

「でもこれじゃあ遠回りしなきゃいけないし。」


サッサッサッ


うーむ、前回会ったときには会話の中にあいつの好みの木の実情報をたくさん手に入れたからな、今日は距離を縮めるために木の実を持ってこよう。


「・・・ぐぅ・・・」


「うぅー怖いよぉ。」

「起こしたら襲われそう・・・」


たしか、あいつの好みの味は、甘い系の木の実だったはず、この道を行けば甘い木の実が実っている場所があったはずだ。


「ん・・・?おお!あったぞ!」


思った通り、ここに赤くて甘い木の実が実っている木をみつけた。


赤い木の実は『月夜の森』に生えている木に実っているのか、これからも来るだろうし、よく覚えておこう。


「えぇ?!オオカミ型の妖精がなんでここに?!」

「知らないよ!いままでこんなところで見かけたことなんて一度もなかったよ!」


その時のオレは、あいつのことばかり考えていて周りの妖精たちが小声で話しているのに気が付かなかった。


「・・・?おぉ!あんなところに他のとは違う大きな赤い実が!」


そこにはちょうど、その眠っているゴリラ型妖精の真上にある木の上の方に、とても大きくて熟している赤い実があった。


うむ、どうしようか。


べつに自分の目線にある赤い木の実でも良いのだが、あの大きな赤い実をあいつに渡した時にどんな反応をするのか興味をもってしまい、上を見上げながらあれをどうやって獲得するかを考えていた。


その時、たまたま見上げていた角度がゴリラ型の妖精と目が合う目線だったらしく、考え事をしていたオレは考えれば考えるほどに目を細めていた。


そしてタイミングが悪いことに、ちょうどその妖精が起きてしまい、目覚めた瞬間オレと目があってしまったのだ。


「ふわぁ・・・・・?!」

「・・・・・・・」

「ああぁのっ!何か用でしょうか?!!」


なんだコイツ、オレはただあの上の木の実をどうとろうか考えていただけなのに。


「・・・あるっちゃあるぞ。」

「はいぃ!!なんでしょうかぁ!!」

「お前の真上にあるその赤い実を取ってくれるか。」

「かしこまりました、すぐとりまぁす!」


何だかよく分からないが、あのゴリラ(妖精)はオレの希望に答えてくれるらしい、見た目によらずいい奴じゃないか。


そのゴリラは手を震わせながら木の実を取り、オレに渡し、さっさと帰っていった。


「どっ、どうぞ!」

「ああ、わざわざすまない。なにかお礼を・・」

「じゃあ失礼しまぁぁす!」


・・・なんだったんだ、あの白ゴリラは?


それからしばらくして、悪党妖精を目力だけで退治したオオカミと噂され、オレの耳に入ったのはそのしばらくしてからだった・・・


***


「オレはてっきり、親切に木の実を取ってくれたのだと・・・」

「あはは、本人からしたら仕方ないよね・・」

「まあ、あのあとシャインがすごく喜んでくれたからべつに良いけど。」


この子、シャインちゃんのことになるとポジティブになるなぁ・・・


でもなにげに、ボクたちって結構似てるところがあるんだね。


メーゼの話を聞いて、ボクの恋もちょっと安心したよ。


「・・・ありがとう、メーゼ。」

「はあ?なにがだよ?」

「べぇつにー。」


そんなボクたちのとある日の話。


デザイン少し変えました。

挿絵(By みてみん)

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